【第7期】第10回グローバルプロフェッショナルズ 講座記録

2013年2月16日

【開催概要】
■人間力講座
 「ものづくりと日本の産業競争力」
 講師:元橋一之 東京大学教授 工学系研究科技術経営戦略学専攻
             

■マーケティング講座
 「グローバルビジネスで求められるコミュニケーション手法」
 講師:白藤 香 グローバルビジネスコンサルタント SPCコンサルティング(株)所長Google serch “SPCCTOKYO”
           学習院大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学
           日本・北米・台湾でマネジメント経験後’01年独立後数々の
           グローバル実践経験を踏まえた戦略企画に定評高。
           著書「海外勤務を命じられたら読む本」(中経出版)


1.人間力講座

ものづくりと日本の産業競争力

講師:元橋 一之 氏

・技術は形を変えており、新興国がキャッチアップしてきて差がつまってきている。現在のサイエンス経済は工業技術のパッケージ化、コモディティー化が進み、形式知が多い

農耕(人が多いほうが強い)
→工業(金や暗黙知の集積、誰でも技術あれば可能)
→サイエンス経済(自然科学だけでなく社会科学を科学的に究明し、それを経済価値化していく活動がベースになる経済社会システム)

・技術革新(イノベーション)は時間をかけて良いのであれば自前でやるが、そんなスピードでは追い付けない。自分だけでなく周りを見渡し利用できるものを利用する、そして、それを還元する Give & Take のオープンイノベーションのマインドが大事になる。形式知だけでなく暗黙知でも存在している公共のオープンな技術・知財をどれだけ使えるかがカギである。

・オープンイノベーションの事例:ダイキンの技術戦略
格力(中国メーカー)との提携により生産コストの削減を図るダイキンは、省エネ技術を教えるという契約を結ぶ。まねされる、技術が流出する懸念あるも、 Give & Take でオープンにいかねば企業は発展できない。技術を守るだけでは時間がかかる、または生まれない

・サイエンス経済で競争力の源泉となる生産要素は、「高度知識人材+サイエンス、 IT インフラ」である。ここでいう高度知識人材とは、下記。
・機械、情報を使いこなす人
・あるものを使って新しい価値を生み出すこと(イノベーション)ができる人

・グローバルでの産業競争力を上げる考え方のポイント:
The World is Flat by Thomas Friedman 
コロンブスによる外の発見( 1942 年)、産業革命による輸送効率 UP で世界が小さくなる( 1800年)、 IT 革命により世界は Flatになる( 2000 年)とグローバル化は進む。
 ただし、 flat なのはまだ一部であり、国・地域の距離・差異を考える必要がある。

・国・地域の距離・差異を考える枠組み: CAGE (下記4 つの軸)
Cultural; language, customs, religion, culture
Administrative; regional integration, currency, political dispute,
common suzerain state
Geographic; physical distance, time zone
Economic; GDP, wages, living cost

・国・地域の距離・差異をどう戦略に落とし込むか: AAA (下記3 つの戦略)
Adaptation; 現地に合わす( Customization of P & S to local market 
Aggregation; スタンダードを持ち込む( Globally (or regionally) standardized P & S 
Arbitrage; 距離を活用( Making profit out of distance 
⇒多様性を逆手に使うことでイノベーションを起こす
⇒現地から本国へ適用(リバースイノベーション)

・国・地域の距離・差異を活用し、それぞれの国で P & S product or service )を CAGE の枠にあてはめることで、 AAA のどの戦略を進めるかを考える。

・課題:インドでの商品戦略を CAGE の枠組みを利用して AAAの戦略を考える
  6 名程度のグループに分かれ、 30 分程度議論し、その後チームごとに発表する。

各チームの発表:チョコレート、化粧パック、電子レンジ、プリンター、化粧品など



Local for local が少ないのが日本のこれからのポイント。ここからリバースイノベーションも生まれる。
 リバースイノベーションの事例: GE の超音波装置
 現地で50 %の機能の商品を 15 %のコストで生産できた。これを本国でも展開したいが、既存の高級品(高利益商品)と共食いの懸念もあった。しかし、実際は病院でなく救急車などでの利用につながり、新しい市場を生むことになった。



2.マーケティング実践講座

グローバルビジネスで求めらるコミュニケーション手法
講師:白藤 香 氏
■ SPCコンサルティング(株)の業務内容

 * グローバルビジネスにおける新事業戦略企画立案
  (多様な業界、複雑系新分野でのビジネス構築)
 * グローバル人事組織体制の構築
  (多国籍人対応のアライアンス)
 * グローバル人材能力開発
  (経営者、シニアマネジメント、専門職、若手)
  (グローバル仕様の思考訓練)

■ 【白藤香プロフィール】
 * http://www3.point.ne.jp/spcctokyo.net/
 * 【ダイヤモンド・オンライン/海外ビジネス遭難防止ガイド】
  http://diamond.jp/category/s-shirafuji

■ グローバル人材となるためのコミュニケーションスキル能力開発はどのようにすると効果的か?

<海外の現状と課題>

* 海外法人に行って驚くことは、現場に行くと立ちっぱなしで動けない人の多さ
* 評価して「もらう」日本、評価を「取りに行く海外・そもそも、日本の常識が通用しないということを理解する
* 交渉の場になるととたんに弱腰になる

⇒GDP世界第三位でもパートナーに選ばれにくい日本企業の現状

<なぜそれが起こるのか>

* 個人という主体がない。
* 生産性自発性を意識した働き方をしていない
* 交渉の場に慣れていないという経験不足
* 思考法の違い

⇒ 文化の違いを認め、海外の様式に合った働き方に変えていく努力が必要

<どのような対策をしていくか>

* 個人という軸を持つ
* 商談では岡本太郎になりきる
* 会議では自分の考えや意見を臆さず発する

⇒「自分」というものを惜しみなくアピールしていくことが必要

■ 実践紹介(一部) *“労政時報”の掲載記事から引用

<階層別能力開発(例)>
 【注】ある米人著名経営者を例に、キャリアを分析して展開したもの

【階層】         【実務】         【理論概論スタディ】

経営層         リーダーシップ     心理学
              経営戦略            歴史哲学
                   経営管理


部長職                   戦略遂行                   経済学
                             経営資源管理            統計学
                             組織管理


課長職                  組織管理                    ビジネスプラン
                            実務管理                    人事組織
                            人材管理                    財務管理


係長・一般職         組織運用                    営業、
                            チーム                        マーケティング
                            業務遂行                    管理会計
                            個人職務                    マネジメント理論
                            遂行                           キャリアプラン

                            ※海外での実践スキル
                            ①論理思考
                            ②経営理論
                            ③コミュニケーション力
                            ④観察力
                            ⑤標準的な仕事の型押し


<思考フレーム(見本)>

【仮説立てのための思考枠】

    目的
     |
     |-----------------
     |             |            |
    理由1         理由2         理由3
     |              |            |
  -----------------------
  |      |     |        |      |      |         |      |     |
実証 実証 実証  実証 実証 実証   実証 実証 実証

                   ↓  総合的にまとめる

                 結論


議事録担当: 川副 祐樹、本間 範良