2012年10月13日
【開催概要】
■人間力講座
「日本企業の低迷とグローバル化の課題~
講師:中津 武 (株)産業革新機構 投資事業グループ MD
■マーケティング講座
「ハウス食品の ブランドとマーケティング」
講師:広浦康勝 取締役専務執行役員・経営企画室担当・国際事業本部長
1978 関西大学卒後ハウス食品(株)入社現在に至る。NPO仕事と子育て
カウンセリングセンター理事
1.第6回人間力講座
「日本企業の低迷とグローバル化の課題~
講師:中津 武氏
~午前の部~
■ 略歴
・1979 資生堂入社
・1984 M&A担当
・1990 日興証券(企業情報部)入社
・1994 ザ・ブラックストーン・グループ出向(NY駐在)
・1996 資生堂再入社
・1998 外部プロフェッショナルを招聘し、M&Aチームを創設
・2006 P&Gより、国際事業ヘッドを招聘。同氏と共に資生堂の国際事業改革に着手
・2010 サンフランシスコ(SF)の化粧品企業ベア・エセンシャルを買収。
PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)を行うため、同社に出向(SF駐在)
・2012 富士フイルム(経営企画本部)入社
・2012 産業革新機構入社
■ テーマⅠ パワーゲームの時代 ―日本企業の低迷要因-
・グローバル企業ランキングにおける日本企業の位置づけ
【Financial Times Global 500における各社時価総額[$m] 】
<2002年>
-Top5
1. General Electronic (US) 372,089.3
2. Microsoft (US) 326,639.4
3. Exxon Mobil (US) 299,820.4
4. Wal-Mart Stores (US) 273,219.5
5. Citigroup (US) 255,299.4
-日系企業
14. NTT Docomo 137,811.6
28. Toyota 106,367.4
55. NTT 62,648.8
75. SONY 48,343.0
97. HONDA 41,404.9
Top100 5社
Top300 24社
Top500 49社
<2011年>
-Top5
1. Exxon Mobil (US) 417,166.7
2. Petro China (China) 326,199.2
3. Apple (US) 321,072.1
4. ICBC (China) 251,078.1
5. Petrobras (Brazil) 247,417.6
-日系企業
35. Toyota 139,367.4
84. NTT Docomo 76,998.4
105. Mitsubishi UFJ Financial 65,563.9
106. NTT 65,284.0
122. Canon 58,255.5
Top100 2社 (▲ 3社)
Top300 18社 (▲ 6社)
Top500 34社 (▲15社)
◎最大手企業の時価総額は ほぼ変わらないものの、 中国・ブラジル等、 プレーヤーの多国籍化が進展
◎日系企業はここ10年で大きく存在感を落としている
・パワーゲームの時代
<「パワーゲームの時代」におけるビジネスモデル>
時価総額の拡大 ← 事業規模の拡大収益性の向上
↓ ↑
M&Aの実施 → シナジーの追求
◎業界トップ企業との体力格差が大きい企業にとっては、大変厳しい経営環境
◎M&Aを実施しても、リソースの活用がうまくいかないとなかなかシナジーは発揮できない。
・文化商品と文明商品
文化商品・・・嗜好性が強く、商品価値が主観的に評価されやすいもの
◇ ローカルニーズの存在
◇ メーカーの寡占化には限界が生じる
◇ 一部最終消費財(ラグジュアリー商品 等)
文明商品・・・機能性・技術性の要素が大きく、商品価値が客観的に評価されやすいもの
◇ グローバルな標準化が容易
◇ 寡占化が起こりやすく、メーカー数社で世界市場を独占することもありうる
◇ 生産財、一部最終消費財(金融商品、タイヤ、フィルム、ゲーム機器等)
・グローバルトップ企業と日本企業との体力格差
文明商品
→機能性・技術性の要素が大きく、商品価値が客観的に評価されやすいプロダクト・サービス
◎グローバルトップとして君臨している日系企業が存在
ex) No.1 トヨタ自動車 138,354 No.2 Daimler 44,965
No.1 ブリヂストン 18,563 No.2 Continental 15,710
*金額:2012/6/29の時価総額
文化商品
→嗜好性が強く、商品価値が主観的に評価されやすいプロダクト・サービス
◎善戦している日系企業であってもグローバルトップとの差は歴然
ex) No.1 Philip Morris 146,030 No.4 JT
59,396
No.1 Anheuser-BuschInbev 118,183 No.12 キリンHD 11,362
・バブル期の明暗
<80年代後半第一次M&Aブーム>
多くの日本企業が多角化や投機を目的として、企業買収や不動産投資を実行し、その大半が失敗した。
戦略的M&Aの実施
ex) ソニー → CBSレコード、コロンビアピクチャーズ 『ソフトとハードの融合』
ブリヂストン → ファイヤーストーン 『グローバルネットワークの構築』
・ボーダレス化
<80年代後半>
時価総額が極大化した80年代後半は、日本企業がグローバルにも勝ち組として
生き残る手を打てる大きなチャンスの時期であった
↓ 体力格差が拡大し、ボーダレス化
<90年代前半>
日本市場における相対的競争優位は意味を失い、日本企業は日本を含めたあらゆる
市場セグメントにおいて、世界最強のライバル企業との直接対決を迫られる時代
◎ボーダレス化した要因
・国際要員不足
・グローバルな事業基盤の欠如
・マーケティング力の脆弱性
・技術力偏重
・経営力への過信
・アジア企業軽視
・選択と集中
<90年代後半>
金融業界の再編を契機に第二次M&Aブーム
↓
各社が生き残りをかけて『持株会社の設立』や『合併』等の手段により、
事業再編・事業統合によるコア事業領域での規模拡大の道を模索
↓
株価への反映という観点からも、収益性の改善という観点からも
多くの企業が満足のいく結果を示せなかった
・日本企業の戦略的選択肢
【タイプⅠ】『メインx国際』市場
◇ スケールメリット追求型産業
◇ グローバル企業・巨大企業の絶対的優位性の存在 → 寡占化(M&A)傾向顕著
(成功企業;ソニー、ブリヂストン 等)
【タイプⅡ】『ニッチx国際』市場
◇ 成長性の限界ないしはタイプⅠ企業からの参入脅威が存在
(成功企業;マブチモーター、シマノ、YKK 等)
【タイプⅢ】『メインx日本』市場
◇ ボーダレス化しても競争力を維持できるかどうかがポイント
【タイプⅣ】『ニッチx日本』市場
◇ 規模の限界
・パワーゲームの時代
<21世紀~>
『ボーダレス化』と『体力格差の存在』を前提とした『パワーゲームの時代』
↓
事業再編・事業統合はあくまで改革の第一ステップ
体力を強化したのちに、競争優位を持つセグメントを確保するために
何をなすかという第二ステップこそが重要
・パワーゲームとパワーマネジメント
【欧米企業】
-戦後~80年代前半
本質はトップダウン経営
→ 但し、一人のトップで運営できる事業規模には限界
↓
-80年代後半~現在
「有能な人材」 「スケール・メリット」「シナジー」を生かすために
→ 「マネジメント・プロセス・ノウハウ」 「スタンダード・プロシージャー・ ノウハウ」 を確立
↓
分権型トップダウン経営にシフトし、 グローバル化・巨大化を加速
【日本企業】
-戦後~80年代前半
「欧米のビジネスモデルの模倣」 + 「技術(商品)力」 でボトムアップ型経営も台頭
↓
-80年代後半~現在
「マネジメント・プロセス・ノウハウ」
「スタンダード・プロシージャー・ノウハウ」が確立されないまま・・・
トップダウン型企業 → 規模の限界から崩壊
ボトムアップ型企業 → 「マーケティング・ノウハウ」がキーとなる感性(文化)商品企業はグローバル化に難航
*トップダウン型・ボトムアップ型共通して、単一ビジネスモデルで運営できる機能(文明)商品企業のみグローバル化
・パワーゲームとパワーブランド
『もの作り』が得意な反面『マーケティング』が不得手という日本企業の一般特性
→国際化の阻害要因
↓
嗜好性の強い商品分野で全世界同一の商品を販売するには、『認知度の高いブランド』の確立が必要
→成功事例僅か
◎M&A(ブランド゛買収)は有効な対応手段ではあるが、 グローバル企業とのシナジー格差が致命的な問題
・パワーゲームとM&A
<M&Aにおけるシナジー>
① 組織統合による収益性の改善 ② 売上拡大による増益
↓ ↓
中~大企業、成熟企業 新興企業、ベンチャー企業
↓ ↓
◎ グローバルな事業インフラを持つ巨大企業の生み出すシナジーは 大
体力格差のある企業が巨大企業とM&Aを競うと…
◇ 入札に勝てない or
◇ 勝てたとしても買収プレミアムに見合うシナジーが創出できない
・文化商品事業と文明商品事業の相違点
<商品の購買決定要因>
(文化) 技術・品質 < 嗜好性 (文明) 技術・品質 > 嗜好性
<業界内のパワーバランス>
(文化) 消費者主導(川上< 川下) (文明) メーカー主導(川上>川下)
<グローバル化 >
(文化) Globalization(本社スタッフの国際化) (文明) Duplication(日本ビジネスモデルの導出)
<事業のキーエレメント>
(文化) マーケティング (文明) R&D
・文化商品事業の特筆事項
① グローバル化に成功した日本企業が皆無
② 日本市場の特殊性が存在
「非階層社会」「非“安かろう悪かろう”文化」「“非プレステージ vs マス”価値観」
グローバルトップ企業が必ずしも勝てない市場
③ ブランドオートノミーの尊重
「スタンダライゼーションとの二律背反性」
「どこまでを権限委譲し、どこまでをコントロールするか」
④ 欧米スタッフのコントロールの難しさ
■ テーマⅡ 日本企業のグローバル化の課題
・ マネジメントストラクチャー上の課題
<マネジメントストラクチャーの発展過程>
「分権化」段階 → 「分散化」段階 → 「二元化」段階 → 「ワン・カンパニー」段階
<日本企業のワンカンパニー化への課題>
① 法人単位の経営管理から、SBU単位の経営管理への移行、KPIの導入
② 「見える化」 (SAP導入)
③ マトリックス組織を運営するためのマネジメントプロセス、スタンダードプロシージャーの確立
④ マイクロマネジメントを可能とするためのケーパビリティーの向上
⑤ プロフィットプール、キャッシュフローマネジメントの必然性に応じた商流の設計
・人材マネジメント上の課題
<人材マネジメントのタイプ>
①『ワンモデル』型・・・グローバル共通の給与モデル
②『コーポレート+ローカル』型・・・一定のジョブサイズ以上でグローバル共通の給与モデルを設置
③『日本(コーポレート)+ローカル』型・・・国別給与モデル
-現状
『ワンモデル』型・・・コンサル / ファンド等 (製造業は不可)
『コーポレート+ローカル』型・・・多くの外資系グローバル大手企業
『日本(コーポレート)+ローカル』型・・・多くの日本企業
-今後
コーポレートにおける意思決定機関をグローバル人材によって
構成する必然性が高い製造・販売企業の場合
→ 『コーポレート+ローカル』型への移行が必然
・ビジネスケーパビリティー上の課題
<マーケティング>
① マーケティングセグメンテーションの高度化
② ブランドイクイティ概念の導入
③ 需要予測モデル
④ 商品開発プロセスの標準化、高度化
<Tax、キャッシュフローマネジメント>
① 移転価格税制への対応
② プロフィットプールによる節税の実現
・P&Gにおける税務ストラクチャー
被買収前のWellaの商流 (一般的な消費財メーカーの商流)
↓
Wella買収後のP&Gプロフェッショナル事業の商流 (プロフィットプールモデル)
・企業風土・メンタリティー上の課題
1.「見える化」 VS 「行間を読む」
2.英語の標準化
3. 「管理」から「サポート」へ (「シェアードサービス」「シナジー」発想)
4. 「マネジメントプロセス」・「スタンダードプロシージャー」
・日本企業のグローバル化の3つの方向性
A 日本オペレーションのベストプラクティス化 → トヨタ
B 日本本社のグローバル化 → 日本板硝子
C コーポレート組織の新設 → JT(JTI)
————————————————————————————————–
~午後の部~
下記テーマに分かれ、グループ討議及びプレゼンテーション
A 日本企業は再びグローバルでの競争ポジションを高めることが可能か?
可能であるならば、何をすべきか?(できるだけ実行可能性まで含めて具体的に)
B メンバーが属している企業の内、特定一社のグローバル化の”as is”、”to be” を共有。
グローバル化強化策をプランニング
C 非英語圏の韓国企業サムソングループがグローバル化に成功した要因は何か?
日本企業はサムソンから何を学ぶべきか?
■サムソングループについて解説
<サムソングループについて>
・1987年、李健煕が二代目会長に就任。
・1993年、「新経営構想」 宣言
→ハイブリッド経営システム・・・日本型経営と欧米型経営の良い所を取り入れる
1994年 売上高 約9,200億円 純利益 約760億円
↓
2010年 売上高 123,700億円 純利益 約12,920億円
<ハイブリッド経営システム>
・HPの「プロフィットシェアリング」
・GEの「シックスシグマ」
など、欧米企業の良い経営手法を韓国流にアレンジし、取り入れた。
<人材の採用・育成活用>
・欧米の優れた経営システムをいかに取り組むか
・いかに地域・先進国に密着するか
・デザイン力をいかに高めるか
↓
<外国人・国外在住韓国人の社内への取り組み>
新経営構想前 ・・・ 国外在住の韓国人に限定
新経営構想後 ・・・ 海外の優秀なグローバル人材を確保
<内部人材の海外派遣>
・国外留学制度
・地域スペシャリスト制度
<デザイン力の強化>
・samsung art & design institute(SADI)を96年に設置
・アメリカ、イギリス、イタリア、日本、中国、インドにデザイン研究所を設置
■ グローバル人材に必要な要素
コミュニケーション力
発想力
人的ネットワーク
<コミュニケーション力を高める>
エグゼクティブリサーチ会社が推奨するグローバル人材とは?
・英語は大事だけど、全てじゃない。
・人を動かす力こそ最大のポイント
【アクションプラン】
①喜怒哀楽を臆さず、素直に表現する。
→殻を破る(=自分自身を変えていこうと日々努力する。)
②自分の思いを相手に伝える。
→代名詞コミュニケーションからの脱却。代名詞を固有名詞へ
→三人称コミュニケーションからの脱却。「わたし」と「あなた」へ
→「論点は3つ」 前置きが長いのはダメ。3つに絞る努力をしよう。
③グリップ力を身につけよう
→今まで自分ができていないことにチャレンジ。仮説と検証を繰り返す。
<発想力を磨く>
異言語・異文化が混在するコミュニケーションの中で、常にネクストステップを
提案できるスキルこそがグローバル人材にとって必要不可欠
【アクションプラン】
①頭の中のキャビネとファイルを増やす。
→反対意見と歴史は”学び”の宝庫。
例えば、「日本の論点」などのなかから、興味のある分野のものからやってみる。
②知識をノウハウに転化する。
→疑似体験化
③π(パイ)型人間
→専門領域は2つ持て。人と違った観点を持つことが大事。
<人的ネットワークを広げる>
人的ネットワークこそ最大の資源。全てのことを自分一人ではできない。
【アクションプラン】
①人間関係はフィフティー・フィフティー
→生きた情報を常に貯え、人間価値を高める。
②人的ネットワークを広げる日々の努力
2.第6回マーケティング講座
「ハウス食品の ブランドとマーケティング」
講師:広浦康勝氏
~ハウス食品グループの概要~
■ハウス食品グループの概要
社名 ハウス食品株式会社
本社 東京本社:東京都千代田区紀尾井町6-3
大阪本社:大阪府東大阪市御厨栄町1-5-7
代表者 代表取締役社長 浦上博史
事業内容 食品製造加工ならびに販売、その他
創業年月日 1913年(大正2年)11月11日
資本金 99億4,832万円
発行済株式総数 110,878,734株
従業員数 2,375名
■ハウス食品グループの主な製品
<香辛調味加工食品>
ルウカレー(バーモントカレー等)、シチュー(北海道シチュー等)など
<健康食品>
機能性飲料・健康食品(ウコンの力等)、健康食品事業【ハウスウェルネスフーズ】(C1000等)
<国内・海外関係会社>
米国豆腐事業【ハウスフーズアメリカ】、中国カレー事業【上海ハウス食品】
運送事業【ハウス物流サービス、ハウス食品分析テクノサービス】、総菜事業【デリカシェフ】
■第3次中期計画(2012~2014年)第3次中期計画終了時 売上高 200億円
米国大豆関連事業 47億円→75億円
台湾・韓国カレー事業 11億円→24億円
中国カレー事業 8億円→20億円
東南アジア新規事業(タイ・ベトナム) 0億円→7億円
欧州豆腐事業 0.2億円→2.5億円
外食事業(米国・中国・台湾・韓国) 23億円→50億円
■沿革
1913年 創業 (浦上商店という漢方薬問屋として)
1926年 カレー工場を譲り受け、メーカーに転身
1963年 バーモントカレー発売
1969年 プロマネ制度導入
1971年 東京・大阪証券取引所二部上場(1973年一部に指定)
1974年 東京本部を設置
1993年 東京本社、大阪本社の2本社体制にソマテックセンター(研究所)を竣工
2003年 中期計画を導入
■企業理念
<創業理念>
日本中の家庭が幸福であり、そこにはいつも温かい
家庭の味、ハウスがある。 ~幸せな家庭のマーク~
In Every House……
<企業理念>
社会における存在意義・コーポレートブランドコンセプト
「食を通じて、家庭の幸せに役立つ」
<ハウスの意>
ハウスに働く社員が共有する価値観・DNA
「社是」と「ハウス十論」
<コーポレートメッセージ>
おいしさとやすらぎを
<10年後の目指す企業像>
「新価値創造、健康とおいしさ発信企業」
(これを目指し、ハウスの理念がステークホールダーと共有できる企業になりたい)
■業績
中期計画の取組推進により着実に事業の整備・拡充を進め、収益力向上を目指す。
連結売上高
12・3期 214,317 → 13・3期 218,000 → 15・3期 230,000
~食を取り巻く環境~
■ここで肩慣らしの問題
マーケティングの原点
・数値で捉える × ・現物・現場重視
1 日本の人口は? 1億26百万人(平成23年)
2 大学または短大への進学率は? 約54%(専門学校含む)
3 1ヶ月の食事代の平均は? 約7万円
4 日曜日のテレビの平均視聴時間は? 約4時間
5 1日の平均塩分摂取量は? 11g
その他
14歳以下の子供の人口とペットの人口は? 子供 1,680万人 ペット2,200匹
■世帯人数別世帯数推移
1980年は… 40代以下の標準世帯が、マジョリティーであった。
全世帯数 :35,821千世帯 → 40代以下標準世帯 1,130万世帯(31.5%)
2015年は… 65才以上が大きく増加。 単独世帯、夫婦のみ世帯の割合が高まる。
全世帯数 :50,476千世帯 → 40代以下標準世帯 727万世帯(14.4%)
■平均所得
・10年前に比べ約100万円ダウン
・所得300万円以下がボリュームゾーンに
・「ロウアーミドル」が日本の中流に!?
■食費
・442万円以下の世帯は月の食費が4万円程度
・7割が「節約している」
■家計消費支出構造の変貌 指数(1992=100)
90年代初期に大きな転換点を迎えている。
被服及び履物や家具・家事用品が減少傾向。
その一方保険医療、交通通信が増加。
■調味料の需要構造変化
家計消費支出と同様、90年代初期に大きな変化が。
酢、つゆたれ、乾燥スープのみが拡大している。
■食への関心
「食」・「味」ともに、1990年頃を境にともに関心希薄化
■帰りが遅いお父さん、6歳児の2割は子どもだけの朝食
■特に女性、家族、そして生活価値観の変化
変曲点:1990年頃 すなわち平成に入った頃
・1990年頃成人した人、今アラフォー
・当時生まれた子 今20歳 ゆとり教育世代
■世帯・人口構造の変化と食市場
1990年頃(平成に入って)家族と食のパラダイムが変化
①人口減少社会
②50歳以上が中心の社会
③単身者・独身者中心社会
④標準世帯(夫婦と子)の減少
⑤食・おいしさへの関心希薄化
■若いお母さんの価値観を理解したマーケティング・キーワード
※2009年、東京・大阪での20-30代主婦GIより
〇現実は食事にお金をかけられないお母さんを応援
・工夫するから真面目になる。現実は地味、堅実。
・メニューがオーソドックスになる。「手作り回帰」
・食品の場合「価格、おいしさ、手間、見栄え(調理感含む)」
〇頑張るお母さんを応援
・財布のひもを緩めるには。
本当は「使う理由=言い訳」を求めている。
<ポイント>「家族する・家族のため」「健康のため(例、野菜を多く)」
〇「料理、味の伝承」を応援
・料理や味のスピリットの伝授(献立の決定、健康に対する意識)
・家庭の味、母の味、自分の味 味の伝承
~カレーマーケットの推移とカレー・マーケティング戦略~
■カレーのメニューポジション
カレーは、全メニュー中、年間第3位(主食NO.1)
■「カレー市場(家庭用) 」について
「ルウカレー」マーケット
調理型/ファミリーユース 約600億円
「レトルトカレー」マーケット
調理済み/パーソナルユース 約400億円
■ルウカレーマーケットのシェア構造
ハウス計で約6割、ハウス3ブランドで5割超
バーモント31%① こくまろ 11%② ジャワ 10%③
■バーモントカレー (1963年発売)
◆“家族のファーストカレー”でありつづけること
◆そして、子供たちの世代に引き継がれていくこと
発売当時の小売価格は
大箱(12皿分)120円、小箱(6皿分)60円
■ハウスバーモントカレーの48年
1963年発売 → 1966年大箱発売 → 1972年辛口発売 → 1983年中辛発売 →
→ 1989年新製法 → 2000年2分割容器採用 → 2003年バーモントキッズ発売 →
→ 2006年プライム発売 → 2010年新製法油脂10%減
・マーケットシェア推移
1975年~1996年 約40~45%を推移。1996年頃、減少傾向になるが
「こくまろ」等の発売により、「バーモント+こくまろ」で約40~45%のシェアを維持。
■ブランドマネジメント(味覚)
◆変えないこと、変えること
・マイルドな口当たり、飽きのこないおいしさ
・(時代の)お客様の嗜好変化に合わせた改良の繰り返し
1971年、1980年、1983年、1989年、1995年、1997年、2000年、
2006年と計8回のフレッシュアップ +α
■味覚づくり(バーモントカレーのおいしさ)
飽きのこない(おかわりしたくなる・繰り返し食べていただける)おいしさ
■ブランドコミュニケーション(イベント)
『子供たちの健やかなココロとカラダを育む』を理念に継続開催
◆ 『バーモント はじめてクッキング教室』:1996年~
幼稚園児を対象としたカレークッキング。延べ参加者数約350万園児
「2006年地域に根ざした食育コンクール」審査員特別賞受賞
◆『バーモント ファミリウォーク』
日本ウォーキング協会との連携:1997年~
延べ参加者数約3万人
◆『バーモントカップ全日本少年フットサル大会』
日本サッカー協会との連携:1997年~
延べ参加者数約5万人
◆『バーモントキッチン食育体験教室』:2006年~
農業体験、郷土・自然とのふれあいをテーマに開催(新潟県妙高市との共同取り組み)。
■メニュー視点:『カレーの食卓動機』
・カレーの食卓動機は過去よりずっと『メニューの数が少なくて済む』
『作り置きできる』『食事をさっと済ませられる』の作り手ベネフィット
・食卓動機の変化
依然として簡便動機は根強いが、食卓動機がモノ”から“コト”に 移行しつつある。
■『栄養バランスを考えた』ときのカレーライス
「栄養バランス」に配慮したとき、食材数は1.4品増加(9.4→10.8品)
■“食卓動機” を起点にしたプロモーション企画
<過去の展開事例>
①子供や主人が食事作りに参加(夏休みでの子供の調理体験の啓発)
②栄養バランスに配慮(子育て担う主婦の悩み解決)
③素材や調理法に拘って調理(休日の男性(主人)の調理増加を背景としたこだわりカレー)
■カレーカテゴリーの革新
新価値商品と非価格プロモーションによる 需要創出と市場活性化
Ⅰ.ハウスカレー・ブランド戦略
~製品・プロモーション戦略による需要創出及び市場活性化
Ⅱ.ハウスカレー・カテゴリー戦略
~脱コモデティ化、メニューポジション維持・向上
(1)非価格プロモーション
(2)メニュー価値や魅力を高めるコミュニケーション
競合は他メニュー、他カテゴリー
2012、2013年は大きな変革点になる!
~お客様起点のマーケティング~
■ハウス食品の製品ブランド
1963年発売 バーモントカレー
1976年発売 フルーチェ
1978年発売 とんがりコーン
1979年発売 うまかっちゃん
1996年発売 こくまろカレー、北海道シチュー
2004年発売 ウコンの力
■ハウス食品のマーケティング フィロソフィー
1.お客様に近づいてゆこう
2.商品・ブランドありき
3.各専門分野におけるNo1を目指す
4.他社は参考にしても、真似はしない
5.フラットなマーケティング組織運営
■商品開発の3原則
ハウスにとって「製品は生命線、ブランドは資産」
独自性 × 先行性 × 高質性
独自性 コアコンピタンス 他社に勝てる独自の工夫や技術を発揮しよう
先行性 ファーストエントリー 新市場の第一発見者になろう
高質性 プロフェッショナル 食の匠を目指そう(おいしさの追求)
■マーケティングが追求する価値・DNA 【駆動目標】
お客様お届けしている価値
たくさんの人に 食の力 を通じて よろこんでもらう
・おいしさで幸せにさせる力
・(家族を)結びつける力
・素材が持つ力(効能)
↓
お客様の「新しいよろこび」を創る
■Q&A
Q 海外展開に関して、ローカライズはしているのか?
A している。同じもので出せればよいものもあるが、レギュレーションなどの問題もある。
R&Dに関しては、現地で行っている。商品開発はノウハウが蓄積されている日本で
行っている。
Q 非常食としての役割など、3.11以降、何か変化は?
A 防災への関心の高まりなど、消費者の意識の変化は感じている。
「災害時に、温めなくてもおいしく食べられるカレーが欲しい」という声にも
お応えして、賞味期間を3年に延長した「温めずにおいしいカレー」を発売した。
議事録担当:本間 範良