【第7期】第9回グローバルプロフェッショナルズ 講座記録

2013年1月19日

【開催概要】
■人間力講座
 「市場環境下における五感&ブランド創造」
 講師:竹内 慶 博報堂ブランドデザイン コンサルタント/プランナー
            東京大学文学部行動科学科卒。04より「五感ブランディング」手法の開発と実践をはじめ論理と感覚、
           言語と非言語の「境界」から新しいブランディングアプローチを推進している。

■マーケティング実践講座
 「コーセー化粧品の国際戦略」
 講師:小林 正典 執行役員 国際事業部長
           
           


1.人間力講座

市場環境下における五感&ブランド創造

講師:竹内 慶 氏


ブランドとは、値段の高い安いではなく、顧客に取って価値があるものを提供すること。
「人」「モノ」「体験」「サービス」など顧客の感情や認識の蓄積がブランドとなる。

例)銀座
  先端、歴史、文化、トレンド、ユニクロ、大人、ハイクオリティ、ITの先端、apple store etc.
  銀座らしさには、属性や機能的価値、情緒的価値、社会的価値、パーソナリティ、ターゲット、シンボル、など、
  いろいろなものが含まれ、連想されるもの全てが銀座を形作る。

ブランドとは顧客の様々な体験で繰り返し作られるもの。
けして、マークや広告から作られるものではない。
ブランドと顧客の接点「タッチポイント」が重要。

◎企業を形作る「顧客」「従業員」「投資家」
その中で、従業員はブランドの主役である。
強いブランドを維持するには、トップから従業員まで同じ熱意をもつ必要がある。

他とは明らかな違いのあるものが「ブランド」
「ブランド」の言葉の発生は、自分の家畜を区別する為に焼き印をつけたことから始まる。

フィリップ・コトラーの言葉
「ブランドとは社会に取って価値のある魅力的な個性」≒ らしさ

・企業の事例
amazon(精巧なロジスティックとIT技術を駆使したeコマースの書籍販売)

経営が困難になったときに、amazonらしさとは何かを従業員が考えた。
箱を開ける楽しさを「にやり」する気持ちに置き換え、ロゴを変更。
amazonのaからzに、「にやり」の形をした矢印が伸びたものに。
さらにそのマークが従業員全体の意識を共有し、自発的な行動を生んだ。

ブランドを作るには調査も重要になってくる。

良い問を考えることは、良い答えを得ること。
既存の手法だけでは顧客の潜在意識や感情を捉え難い。
非言語や無意識への注目。
調査の工夫をすることで顧客や従業員が考えるらしさを見つける。

ブランドのインサイトを把握する為の「文章完成法」調査
ブランドの一番の味方は?
一番の敵は競合ではない可能性を考える。

・ブランドAの色は(    )?
・ブランドAの一番の味方は(    )?
・ブランドAの一番の敵は(    )?
・(    )な時はブランドAが欲しい?
・(    )な時はブランドAが欲しくない?

車を買うときに他の車と迷っているのではなく、今度ペットを飼うことと迷っている可能性などを引き出す。

「ビジネスエスノグラフィ」行動学、文化人類学
「ザルトマンメタファー表出法」認知心理学、脳科学、人間の持つ認知、伝導の鍵となるメタファー
「LSP(LEGO SERIOUS PLAY)」手は頭よりかしこい→まずは手を動かすことから


◎優れたコンセプト/内容の理解が容易になり、かつ人々の記憶に残りやすい
・サウスエスト航空 空飛ぶピクニック
・apple 普通の人々の為のコンピューター
・スターバックス 職場でも家庭でもない、第三の場所

◎良いブランドコンセプト/インパクトと実現性の絶妙なバランス
言い当てではなく、商品やコミュニケーションの起点となるコンセプトは理解が進み、ビジョンが見える、発想が湧く。

共有・期待・起点 = 3つの力を備えたコンセプト開発が重要
情緒や感覚を入れる

言葉だけでは同じブランド像を結ばない。ブランドの価値を左脳的、右脳的に考える

博報堂では多くの関係者で「共創」して一つのモノをつくるスタイル
ワークショップの実施を活発にしている。
ワークショップの利点 → 一同に集まり議論するだけではなく、プロセスの共有が出来る。

視覚偏重ではなく、五感に重きを置く
個別のタッチポイントではなく、トータルな体験


なぜブランドは必要か?
インナーのバリューチェーンの中で「あ・うん」の呼吸が通用しなくなっている。
生活者との新しい関係式の中で押し売り型のマーケティングは通用しない。
らしさ、価値観を共有することが必要となっている。

◎共創型ブランド
・企業の事例
 東京R不動産/古くていい家に住みたいという顧客ニーズ、他の不動産だと悪い物件の扱い
 パタゴニア/勤務中に波が良ければサーフィンに行っていい
 ピープルズ · スーパーマーケット/会員はスーパーで働く、その分安く買える

これからのブランドは主観と客観をどう結びつけるかが大切。
両方を行き来し、両方に対する答えがらしさに繋がる。



2.マーケティング実践講座

コーセー化粧品の国際戦略
講師:小林 正典 氏

■KOSE基本情報

Sales・・・USD 2.0Billion
Core Brands・・・25
Countries・・・11
Number of Stuff・・・5594
Foundation・・・1946
Publicity listed・・・50%~(オーナー株)

世界20位、日本3位の化粧品会社

■KOSEの特徴

○フランスロレアル社と事業提携するなど、海外ブランドと数多く提携してきた。
・ロレアルサロン(日本のサロン業界でTOP)
・マリクレール、プラダ、ブルガリ、JILLSSTUART、ティファニー、Maybellineなどと提携
・フランス政府から勲章も頂いている

○新しい市場を開拓してきたし、今後もそうありたいと考えている
・美容液やパウダーファンデーションを世界で初めて商品化した。

○企業イメージを変えたいと考えている
・KOSEには少しダサいイメージがあるので、新垣結衣などを起用してイメチェンを図っている

○ブランドポートフォリオを緻密に設定している
・各チャネルをもれなく、たぶりなく設定している。
 High Prestige(40%)、Prestige(35%)、Self-Selection(25%)

○規模の大きい研究所を持ち、自社で工場も持っている。
・研究所200名勤務、PhD20名
・2009年にはCellに論文掲載

■国際事業本部について

<売上>
2007年から2011年にかけて、1.5倍に伸びている。為替の影響を入れても15%の伸び。

<売上構成>
中華系エリアがメイン(7割)、その他の地域を含めても8~9割が中華系人
China・・・38%、台湾・・・31%、HongKong・・・8%、Koria・・・8%

<Business>

Core Business
・Prestige デパートで今後も展開していく
・Chinese Speaking Marketをターゲットとする

New Business
・Mail-order、TV-shopping、Online 通販
・Travel Retail Channel 免税マーケット
・New Market(欧州、インド)

Non-Core Businnes
・Chain Retail・・・ドラッグストアなど(流通は寡占状態である為)
・ASEAN/KOREA

○Prestige分野について
 デパートなどにある「KOSE」のカウンター。ここでのポジションは免税分野にも影響するため、今後も維持していく。
 「雪肌精」がBig Brand、「Cosme Decorate」、「Jill Stuart」

○China Speaking Marketについて
 中国には、地方など、まだまだマーケットが残っており、期待の市場。

○Mail order
 Tao-BaoといったBrandがある売り上げは2500億円/円

○Travel-Retail
 LotteデパートなどのDuty Free Shop、Airlineでの販売など。
 今後はPBもあり、流通とどのように付き合っていくかが課題である。

<Face of Brand>

ブランドの顔であるモデルについては、西欧のモデルや安室、台湾モデルなどを起用している。
ベトナムや東南アジアではKorian Brandがおしゃれだと思われている。
ヨーロッパの市場自体は芳しくないが、ブランドや流行の発信地であり、プレゼンスは高めておく必要がある。
アジアやその他地域に進出する際のハブの役割にもなる。

■海外Businessについての質疑応答

・以前の方が現地に合わせた手法をとっていたが、Sales Volumeが増加するに伴い日本式のマーケティング方式へ変換してきた。
 それが、マイナスとなっている。
・PRについては、Made in Japanを追求しつつ、マーケティングは現地化している。しかし、商品ラインナップによって違いはある。
・人材は外国籍のスタッフを増やしている。海外法人から日本に移動するケースや中途採用もある。国際事業部では50名中約20%が外国籍。
 社内では語学留学をすすめており、日本人は積極的に国外に出している。
・チャイナリスクはあっても、中国は最優先だと考えている。
・国による品質管理の差について
 国により求められる品質の違いがはあるが、どんな製品であっても最高品質であるべきだと考えている。
・流通政策については、自社製品は自社で販売することがメーカーが生き残る道だと考えている。PBとの差別化も重要。

■Key Issue

Global展開をする上で、大切なこと
①   政治的なシステムやインフラの整備状況は大切
②   歴史的、文化的背景を知ることは大切
③   多様な価値観を共有することは大切
 ⇒日本という国は経済的には安定しているが、社会は未熟であり、日本人男性の価値観がまだまだ主体となっている。
   シンガポールなど海外をまわっていると恥ずかしいくらいである。


議事録担当:野島 明子、近藤 美也子