第10期第4回目の講義議事録

人間力育成講座「ブランド組織(人間力創出)を乗り越えろ」
講師:上条憲二 氏 愛知東邦大学経営学部地域ビジネス学科教授 元(株)インターブランド 役員

・ブランドとは変化するアセット(資産)である
・インターブランド社ではブランドを金額換算している(財務帳票から換算)
→インターブランド社のホームページに記載されている
・ブランドオーナーは、自ら「目指す姿」を語れるか
・顧客のアンメットニーズ(未充足ニーズ)を捉えているか
・ブランド名を聞いて、独自の姿がイメージできるか
・企業のコンセプトをどう言い換えるか
・今は技術名称も(アイサイト、wifi)ブランドネーミングとなっている
・ブランドをどう守るかが大事

・ブランディングとは
→ロゴは瞬間的に判断させる
→イメージが浮かび上がってくる
→ブランドは「頭の中」に存在する。工場や店では作られるものではない
→ブランド=頭の中に、「評判」というハンコを押すこと
→ブランドは「機能」と「情緒」の融合から生まれる(機能はまねされやすい、情緒は「らしさ」)
Q.ブランドはどうやってできるか
→最初はネーミング。ひいきされて初めてブランドへ(安いほうがいい、近いほうがいいはダメ)
→ブランドが確立されると・・・長期的な利益の源泉となる
・ブランドは「確たる評判」

・強いブランド「企業側の約束」と「お客様の期待」が一致している
・強いブランドは企業と社員と顧客の認識が一致すること
・弱いブランドの共通点・・・社長、取締役、営業、広告等、すべての人の認識が違っている
・ブランドシンボルをいじってはいけない
・日本のブランドが世界で輝くためには「最愛のもの」になることが重要
・自分のブランドは、「自分が他人から言われて一番嬉しいこと、嬉しかったこと」を思い出す

・現状分析は「イロハニホ」で
→イメージ、ロジック、ハナシ、ニーズ、ホンシツ
・ブランドパーソナリティ(ブランドの人格)は、具体的に
「優しい」ではなく、どのような優しさなのか ex.子供をあやす時のような優しさ
・プロポジションリスト(セールスポイント)は多勢で意見を出している時ではなく、
一人になった時に出てくる(右脳→左脳へ)

・ワークショップ
某プロ野球球団のブランドステートメント(スローガン)を考えてみる
Fさん「家族の共通言語」
Sさん「勝っても負けても満足させる」
Tさん「We want the autentic baseball」

マーケティング感性講座 「オムニチャネル戦略とIot;消費産業のインダストリー4.0」~アントレプレナーの時代
講師:藤野直明 氏 (株)野村総合研究所 主席研究員

・日本では、インダストリー4.0は2年間無視していた
・もう誰が競合かわからなくなっている
・先進国で、製造業がGDPの20%以上なのは、ドイツと日本だけ
・第4次産業革命はCPSが牽引する(CPS:Cyber(IoS)Physical(IoT)System)
・全て自社やグループ会社ではなく、他社も利用することで新事業を行うリスクが減る
・小売業界は2000年代まではITに投資していなかったが、欧米では投資を開始している
・海外40カ国23000工場の生産拠点が連携している調達プラットフォームがあるが、
日本ではまだ1社しか使っていない
・貿易では、20年前から国際標準があったが、日本では使われていない

・ZARAはコンプリートノックダウン(CKD方式)により、最短2週間で商品を供給している
・ITを活用して新興国展開時のビジネスモデルを図ることが重要(中間層を相手に)
→それができないと、最後は買収されて終わり
・オムにチャネルは、O2O(Online to Offline)ではない
→単なるモバイルチャネルがオムニチャネルではない
・リアルな店舗だけで運営している小売業とオムニチャネル展開している小売業とでは、
小売業としてのブランド価値に差が出てしまう
・これからの小売は「リアルタイム-パーソナライゼーション(個客対応)」タイプのサービスへ

2015年8月8日(土)16時~18時
株式会社野村総合研究所 産業ITイノベーション本部 主席研究員 藤野直明氏
「インダストリ4.0  オムニチャネルリテイリングと消費財産業のSCM革新
~消費財産業のIndustrie4.0 オムニチャネル戦略と現状~」

・オムニチャネルについて、5年前は「何なんだ?」と言われた。
米国で定義された考え方だが、日本でも徐々に確立されてきた感がある。
ただ、だいぶ誤解があるので今日はそれを直していきたい。

・学習目標
1. インダストリー4.0とは何を指しているのか?
2. 消費財産業は、もうそのことについては目の前にある
そのことを理解してもらいたい。

・あるCM

概要 農家の家のシーン、登場人物が起きてコーヒーを飲む、壁のタッチパネルを触り天気を確認する、机に座りシステムを立ち上げる、農業機器の作業計画を定める、電話が掛かってくる、メールを見る、天気予報が変わる、農作物をスキャンしてデータを見る、農業機器の作業員が状況を確認する、雷雲が近づく The future of farming is in sight
というJohn Deere社のCM
日本でいうコマツのような会社だが、農業機器のサービス化 Servitalizationを進めた。
元々はコマツが機械にGPSをつけて、メンテナンスプランのサポート対応したことが始まり。その次にリモートコントロールによる無人化を進め、さらには出荷量あたりの機器使用料といった契約ビジネスを始めた。

John Deere社のビジネスでは、米国が天気予報のAPIをオープンにしたことを利用し、農作業の最適化を図るサービスを提供できるようになったこと。保険会社がJohn Deere社の計画通りに耕作をすると農作量が安定することを踏まえ、その収入を保障する保険を作った。その保険とセットで売れている。

・自動車業界での動き
BMWが5~6年前に中国で生産工場を作って、その工場をシーメンス社が請け負った。フィクスワーゲンとBMWが現在中国で多く走っているが、それは工場があるからに他ならない。ドイツはかつて現地に工場を作って徹底的にトレーニングをすることで成功してきたが、中国の従業員は上昇志向がありJob Hopperなので、そのアプローチが通用しない。そこで、そのノウハウをブラックボックス化しながら、どう展開できるか?という事を考えた。実は、2年前にメルケル首相が来日した際に安倍首相に持ち掛けたテーマは2つあり、1つ目は女性の社会進出、2つ目はインダストリー4.0であったと言われている。

この後のAgenda
1. 独 Industrie4.0の示唆
2. 消費財(アパレル・雑貨)における第四次産業革命
3. 生活者のIT環境の変化 オムニチャネル・リテイリング

  1. 独 Industrie4.0の示唆
    ~2010-2014年の流れ~
    製造業がGDPの20%以上を占める先進国はドイツと日本だけである。
    独政府はハイテク戦略HTS2020を策定し、5つの重点分野で10個の未来プロジェクトを推進し始めた。その1つがIndustrie4.0である。2013年春にメルケル首相がこのプランを受理し、2億ユーロの補助金が決まったというニュースが出たが、この2億ユーロは環境整備のためのミーティングに使われることが主である。そのことをはき違えて、大した金額ではないと思ってはいけない。
    Industrie 4.0のプラットフォームには、BoschやSAP、BMW、シーメンスなどを中心に中小企業等も絡んでいる。日本に話をしたのは、この流れに日本も加担して貰いたいという意図があるから。

第4次産業革命とあるが、1.0が蒸気、2.0が電力化、3.0が自動化、4.0がCPS化である。CPSとはCyber Physical Systemの略で、Physical Internet of Thingsと言われるような実際にセンサー等でデータを取るような仕組みと、IOSの世界で実物の仕組みをプログラム化し、それとデータを比べて分析するような仕組みを指している。

Industrie4.0が構想する3つの統合
① 企業・国籍の枠を超えるもの
② エンジニアリングチェーン
③ 生産実績情報

シーメンスはサービスを売る会社へと変わっている。日本は現場の匠の技術というものを大事にしていることがあって、「標準化」が問題。これができない。なので企業グループの規準で囲い込みをしてしまっている。メルケルは独内での標準を決め、そのモジュール毎の技術をそのノウハウがある所が埋めるような形で対応できるような仕組みを考案している。
実はこの考え方は日本が1970年代に半導体で飛躍したときに実践していたことである。
また、CPS自体も日本が10年早く実現しており、三菱電機が実践している。しかし、日本は全部自社に任せてくれれば分析できるという所ばかりで、グローバル視点で考えていない。なので、システムが違う箇所については分析できなくなり、全世界を可視化したいグローバル企業のニーズに応えられない。

  1. 消費財(アパレル・雑貨)における第四次産業革命

リテール業界はTechno-Phobiaと言われ、2000年頃までは売上に対するIT投資が低い業界であった。現在は、増えてきているが日本は変わらない所がある。欧米諸国のメーカーは、中国工場でアパレル商品を作るにあたって、中華系の商社に英語で説明し、その商社が中国の工場に見本品を作らせ、それを見てみると「こういった物ではない」というやり取りをやりたくなかった。そこで、素材の標準化を取り組んだ。

ZARAの事例
ZARAはComplete Knockdownをトヨタに学んで取り入れた。ZARAは物流センターでお店別に必要となる素材を仕分けして、現地の縫製工場で仕上げてもらっている。ZARAの発想は生地のコントロールが大事だということ。

John Deree社も日本のオペレーションを参考にしている。米国は多くを学んだが、日本側は自己変革に失敗したとも言われている。

示唆(インプリケーション)

日本企業は、あまりにもガラパゴス 日本市場は、唯一のローカル市場
そこに安住している限りグローバル企業にはなれない。

  1. 生活者のIT環境の変化 オムニチャネル・リテイリング
    オムニチャネルという言葉は誤解を受けた概念である。
    単なるモバイルチャネル対応がオムニチャネルではない。ECで買った物をお店で返品できることがオムニチャネルのイメージ。つまり、購買がチャネル毎ではなく一元管理されている状態である。ロイヤリティの高い重点顧客に対して、的確なアプローチができる。

日本は店舗を中心に考えている所がある、小売りからブランドビジネスに変わらなければならない。これは大きなパラダイム・シフトである。小売りのKFSは立地だったが、これからはリアル・タイム・パーソナライゼーションタイプのサービスとなる。

この対応での課題が2つ
1. 独立したシステム/DBが乱立して統合できない
2. 物流の在庫管理のシステム
組織行動がチャネル別組織になっていては取り組めない課題。
先進的な企業はマーケティング部門×IT部門が一緒になった組織で対応している。

最後に、既存の組織には対応できないことで、次期+中期経営計画には必須のテーマである。朗報としては、クラウドサービスが安価に提供されてきているので、昔ほど取り組むハードルは高くなくなってきている。聴講者の中に起業家の方もいると思うが、差別化を図って参入するなら今はチャンス。