第2回GP議事録(2017年6月17日)

■第1部「日本3.0とリーダーの条件」

講師:佐々木紀彦 様(株式会社ニューズピックス取締役/編集長)

●講義のポイント
・日本3.0到来で、日本はどう変わるか?
・リーダーの条件とは?

●日本3.0の到来
近現代史は70年ごとに動いていると言われる。
明治維新から日露戦争を経て敗戦までが日本1.0、戦後からプラザ合意を経て現在までが日本2.0、
70年ごとの変革が続くなら、2015年~2025年あたりで日本3.0に入る。現在が終局点である。

●第3のガラポン革命
日本1.0の始まり「明治維新」は、『移動の自由』と『下級武士の下剋上』、
日本2.0の始まり「戦後復興」は、『地方→都市』と『パージによる世代交代』がキーワードだった。
何が時代を動かすのか。共通するキーワードは『移動』と『下剋上』である。
これから迎える第3の革命(日本3.0)も、『移動』『下剋上』がキーワードとなるだろう。

●7つのキーワード

① 財政(金利急騰による国債暴落のリスク)
② 政界(安倍VS小泉)
③ 自然災害(南海トラフ)
④ 戦争・紛争(北朝鮮、アメリカVS中国)
⑤ 生前退位(元号の変化、平成の終わり)
⑥ 人口減少(2025年以降、東京でも人口が減少する)
⑦ AI・ロボット(新しいマーケット)

●移動を促す9つのファクター

① 年功序列の終わり
② 同一労働・同一賃金
③ 男女逆転
④ 外国人の増加
⑤ 業界再編
⑥ スタートアップ
⑦ 第4次産業革命
⑧ 交通革命
⑨ グローバル化

特に「年功序列の終わり」が大きい。
これからは30代がどう動くかがキーになる。団塊世代から70代までは新しい働き方を欲する。
40代後半~60代前半は変わらず、変化に取り残されていくだろう。

●今後
40代社長が大企業でも出てくるだろう。
テクノロジーネイティブがトップにならないとこれからは厳しい。
これから5~10年で社会が変わる。皆が動いてからだと道が混む。早すぎてもダメ、遅すぎてもダメ。

これからの時代、ルールが根底から変わる。とにかく動く。
今後20年くらいすると方程式が出てくるかもしれないが、正解がないときはとにかく動くのが合理的。

●リーダーの条件
日本と世界の差は、教養・知識の差。日本は18歳までは優秀で、特に理系は群を抜いている。
大学4年間の過ごし方で差ができ、40~50代になると倍の差がつき、一生その差は縮まらない。

以下の7つが重要である。

① ワールドクラスの教養
→日本の最大の差。土壌(教養)が豊かであれば、木(専門)は何本でも立つが、日本は教養教育が足りてない。
アメリカは知の1000本ノック(読書→レポート→プレゼン)を大学4~6年で徹底的に行う。古典に触れている。
日本人はポテンシャルがあるのに損している。
アメリカの大学の三種の神器は、今は「コンピュータサイエンス」「哲学」「経済」と言われている。

② クリティカルシンキング
→常識や固定概念を疑う考え方。この力を身に着けるには哲学がベスト。

③ 議論・説得する力
→ソクラテスのロゴス(議論)・パトス(感情)・エトス(徳)。このバランスが大事。
頭のいい人はロゴスのみにいきがち。

④ 体力
→運動と食事。経営者は運動習慣と食事に皆気を付けている。

⑤ 孤独力
→リーダーや新しいことをやる人は孤独である。
孤独力を鍛えるには、読書・一人旅・スマホ断ち・友人との対話・恋愛。

⑥ 無私
→現代は自己愛の時代。自己愛があると判断が歪み、人が離れていき、野望が小さくなる。
社会的に価値のあるものにすることが大事。
(※ここでの自己愛は、ナルシシズムの意味。自己肯定感ではない。)

⑦ コスモジャポニズム
→世界の視点が「コスモポリタニズム」、日本の視点が「ジャポニズム」、二極化している。
その両方「コスモジャポニズム」が大事。

■第2部「LEXUS の新ブランディング戦略」

講師:沖野和雄 様 (レクサス・インターナショナル Jマーケティング室 室長)

●LEXUSイントロダクション
・1989年にアメリカで2モデル展開からスタートし、2017年現在15モデルを展開している。
2017年はブランド刷新の仕上げの年であり、ブランドストーリーを重視したマーケティング展開をしている。

・Chief Branding Officer&Master Driverに豊田章男氏が立ち、トップの強いコミットメントのもと
お客様の期待を超える感動や驚きを提供し続ける(EXPERIENCE AMAZING)をビジョンに掲げている。

●LEXUSの新ブランディング戦略
・レクサスの目指すべき姿を新しいLUXURYに寄せていくこととし、現在のポジションである伝統的LUXURYの領域を
販売店におけるCRM活動が担い、新しいLUXURYの領域をメーカーによるコミュニケーションによって担っている。

・オーナー様向けにはオーナーズラウンジやオーナーズデスク、レセプションデスクなどのサービスを提供し、
サービスのクオリティを継承するためにレクサスカレッジという社員の教育施設を持っている。

・ブランドコミュニケーションについては、情報高感度層をターゲットとし、マスアプローチと非マスアプローチ
の施策を行っている。マスアプローチはTVCM。非マスアプローチはターゲット層の関心のある事項(クルマ、食、
ものづくり、旅、スポーツ、ファッション、アート)に沿ってレクサスの情報を出していく各種施策を行っている。
これによりターゲット層の生活の中でレクサスの存在感を出していき、購買検討がスタートしたタイミングで
検討する3車に入ることを目指していく。

・レクサスを際立たせる文脈として、以下の5つの切り口にそってブランドコミュニケーションを実施している。
これらのマス・非マスの各種活動によって、レクサス×かっこいいというクチコミ数は約4倍に伸長している。

① 未来をつくる才能のある若手を育てる/ショートフィルム、デザインアワード
② クラフトマンシップ(匠、モノ作り)/CRAFTED FOR LEXUS、DINING OUT
③ クルマ文化への貢献/AMAGING EXPERIENCE、SuperGT
④ 日本発世界へ挑戦する/松山選手(ゴルフ)、室谷選手(エアレース)
⑤ 新しいライフスタイル・EXPERIENCE(体験)の提案/アマン提携、ANA連携、Vogue

■第3部「ミッションに生きるサーバントリーダー」

講師:髙本 眞一 様 (三井記念病院 院長)

●人生に影響を与えた人

・Albert Schweitzer(アルベルト・シュヴァイツアー)
「わたしは、生きようとする生命にとりかこまれて、生きようとする生命である」
(わが生活と思想より)

・岩村昇
ネパールで医療活動
「生きるとは 分かちあうこと」「共に生きる」

・Martin Buber(マルティン・ブーバー)
ユダヤ教宗教哲学者・社会学研究者
「我と汝の、実存的な関係の中に本当の人間らしさがある」

●私の大きな経験、新たな認識

・患者さんに助けられた経験から、
「医者は患者を救うのと同様に、患者に救われる」
「医の原点:患者さんとともに生きなければならない」
という考えをもつ。

・「医師は患者によって生かされる」「病気を治すのは患者の生命の力」

●医学の幻想、人間の限界

医学が進歩すれば、生命も作ることができるといった幻想があるが、
大宇宙の中で人間(小宇宙)がカバーしている範囲は狭い。
生命とは極めて複雑で非常に価値のあるもので、人間の知恵により到達できるものではない。
生命ができるプロセスは説明できるが、そのメカニズムは永遠の謎である。

●医療でできること

・こうすれば患者は治っていくだろうということは分かっている。
しかしその細かなメカニズムはほんの一部しか分かっていない。
実際に治るのは患者の生命力で、医者はガイド役にしか過ぎない。

・感染症との戦いには、人類はいまだ勝利せず。

・医者は患者のガイドである。病気の治療は山登りのようなもの、医師は患者の山登りのよき
ガイドでないといけない。医師は患者とともに歩まねばならない。ともに歩むところに癒しがある。

●組織のミッションとリーダーシップ

・三井記念病院ではミッションを新しく変え、誰もがミッションを言えるようにした。

新ミッション)
三井記念病院は患者の生命(いのち)を大切にし、
患者とともに生きる医療を行いより良い社会のために貢献します

・よりよいチームワークのためにはサーバントリーダーシップが大事である。
リーターは①戦略と②人間性の2つが大事。戦略だけではリーダーにはなれない。

・明確なミッションを持たないと、人間は弱いので目の前の損得に振り回される。
自分の信念がないと目の前の得に寄っていく。そのような人間は誰からも信頼されない。
会社も同じである。

・失敗を恐れず、失敗を許す。失敗を通じて自分の限界を実感し、
自分一人ではなく周囲の人と補い合うことで物事を達成できていることに気づくことができる。
失敗を許す環境が大事。

・世の中を動かすには「失敗を恐れないこと」そして「Mission」「Passion」「Action」が大事。
ミッションだけでは世の中は動かない、最後は行動しなければいけない。