第12期第4回目の議事録

第4回GP議事録(2017年8月5日)

第1部・第2部「ブランドと人間 ~ブランドで組織の壁を乗り越えろ~」

講師:上條 憲二 様 (愛知東邦大学 経営学部地域ビジネス学科 教授)

●ブランドは工場や店で作られるものではなく、アタマの中で作られるもの。
ブランドは「頭の中にあるイメージの貯金箱」、ロゴマークはその貯金箱の鍵である。

●ブランドを創るということはステークホルダーの頭の中に確固たる評判(存在感)を確立すること。

●ブランドは「機能」と「情緒」の融合から生まれる。
「機能」の方に寄るほどマネされやすく、「情緒」の方に寄るほどブランドになる。
「機能」で勝負するうちはブランドではない。

●ブランディングは事業戦略を実現していくためのドライバー(ビジョン)である。

●ブランドは誰のものか?
ブランドは自社とステークホルダーの間に成立する。ブランドは「両想い」から生まれる。

●現実には「ブランド」は解釈が分かれ、いまひとつ曖昧になりがち。
だとしたら「らしさ」と言ってみる。固有の価値をもつ「らしさ」とは
①その企業に「意志がある」
②社会と顧客のニーズを満たしている
③他社との違いがある
この3つがあればブランドとなる。
確たる評判=固有の価値=らしさ→ブランド

●「ブランド」をより強くするためには「さすが」を増やすこと。
「ともあろうものが」を減らすこと。なくすこと。

●「ブランド」(確たる評判=らしさ)が確立できると、顧客への効果、社員への効果が生まれ
「長期的な利益」の源泉が得られる

●強いブランドは「約束」と「期待」が一致する。弱いブランドは企業の約束がお客様に正しく伝わっていない。
意図して「確固たる評判」とつくるには、「ブランドの基本原則、事業活動、ブランドシンボル」の3つの連動が必要。

●日本のブランドが世界で輝くためには以下が重要である。

・最安のものでも最良のものでもなく「最愛のもの」
・いいものではなく、「使う人にとって良さそうなもの」
・物ではなく、「物語があるもの」

日本のモノ作りに足りないものは「物語」である。
モノはどこの国でも作れる時代。その会社・ブランドだけの物語はマネされない。

●人に置き換えて「自分のコンセプトは?」「自分だけができることは?」と考えると意外と答えづらい。
そんなときは「自分が他人から言われて、一番嬉しいこと、嬉しかったこと」を思い出すと、
それがあなたのブランドのコアかもしれない。

●ブランド戦略の立案は、6ステップから成る。

1)自分たちは今、どこにいるのか【現状分析】
・マクロ外部環境分析
・ミクロ外部環境分析:業界市場環境/競合/顧客
・内部環境分析

2)何が問題か、どうすればよいか【問題点・課題点の明確化】
・クロスSWOT分析:「積極攻勢」戦略/「差別化」戦略/「段階的施策」戦略/「専守防衛」「撤退」戦略
・3C分析

3)どこに向かうべきか【方向性の明確化】
・戦略立案の3つの大事な要素「何を」「誰に」「どうやって」
・WHAT…ブランドの「現在の姿」→「あるべき姿」を議論する
・WHOM…ターゲットマーケット/メインターゲット/メインターゲットの現在の認識とあるべき認識/サブターゲット

4)具体的にどうすべきか【コンセプトに基づく基本戦略の明確化】
・展開(ブランドステートメント・ブランドガイドラインの作成/ブランドコミュニケーション戦略の立案)

5)実際はどうだったのか
・活動検証(商品戦略/流通戦略/プロモーション戦略)

6)次に何をすべきか
・施策修正(検証に基づき問題点・評価点・課題点を明確化し次期戦略を立案)

第3部「オムニチャネル・リテイリング戦略とその現状」

講師:藤野 直明 様 (株式会社野村総合研究所 主席研究員 産業ITイノベーション事業本部付)

●わが国のオムニチャネル・リテイリングの現状

日本でもオムニチャネル・リテイリングの取り組みを開始した企業も多いが、
初歩的な誤解とそれに起因した課題を抱えた企業も多い。
誤解とは、オムニチャネル戦略を単なるO2O(店頭誘客のための広告施策)と考えたり、
WEB通販事業の拡大だけを考慮したIT整備で十分と考えたりすることである。
単なるモバイルチャネル(スマートメディア)対応がオムニチャネル・リテイリングではない。

●生活者をとりまくIT環境の変化と購買行動

消費者はあらゆる情報源に触れて、商品に関する情報を収集する。
購買プロセスは各ステップごとにチャネルが変化し、それらを横断する複雑なものになる。

●マルチタッチポイント顧客は重要なターゲット

ロイヤリティの高い重要顧客の囲い込み戦略として、マルチチャネルへの対応を考えるべきである。

①マルチタッチポイント顧客は、商品の検討に多く時間をかける
②複数タッチポイントで検討したユーザーの購買確率は高い
③マルチタッチポイント顧客の購買額が他者に比べて大きい

『個別チャネルでの販促活動』や『個別チャネルでの購買率・購買額向上施策』を検討するのでは、顧客行動とかい離している。
全てのタッチポイントが“小売のブランド”を形成している。
オムニチャネル・リテイリング対応への投資は、ロイヤリティの高い重点顧客の囲い込みのために必要である。

●マルチタッチポイント顧客への対応:オムニチャネル・リテイリング戦略とは?

オムニチャネル・リテイリング=チャネル横断型の商品・顧客・販促管理の実現である。

顧客から見た小売の概念は“店舗”から“(小売)ブランド”中心の考え方へ移行し、
小売業の通念転換(=パラダイムシフト)を要求している。
“サービス業としての小売業”を再構築し、新たな「(小売)ブランド」を確立することが重要である。

オムニチャネル・リテイリング戦略とは、統一ブランドとしての小売業が“おもてなし力”を発揮し、
高い顧客満足を獲得することで小売のレーゾンデートル(存在価値)を確立することである。

小売のKFSは“おもてなし力”=「リアルタイム・パーソナライゼーション」タイプのサービスへ変化し、
店頭を含めたマルチタッチポイントにおける“パーソナライゼーション型のサービス競争”へ。
これまでのDWH・CRMと異なる点はリアルタイム性(BIGデータ技術他の活用)である。

●容易ではないオムニチャネル・リテイリングへの対応:2つの大きな課題

顧客の様々な行動パターンに対応したオムニチャネル・リテイリングへの対応が必要不可欠であるが、
①システム構造、②推進組織という2つの大きな課題がある。

①システム構造
これまでの個別チャネル別のシステムではなく、オムニチャネル・リテイリングを支えるITが必要

②推進組織
チャネル別の組織では、販売段階の競合だけでなく、マーケティング段階での連携も希薄であることが多い。

●オムニチャネル・リテイリング戦略立案の重要性

「サービス業としての小売業」の経営戦略が重要である。
小売業の概念を再構築するマネジメント上の課題解決が必要となる。大きくは以下の3点である。

・担当組織等の組織設計の考え方
・IT基盤の構造
・小売全体としての経済効果の考え方

本格的なオムニチャネル・リテイリング戦略と実行ロードマップを全社を挙げて構築するべきである。