第4回グローバルプロフェッショナルズ 議事録

日時:8月17日(土)10:30~18:00

 

10:30 山本校長の挨拶

今回で4回目の講義。何か気づきを得たような態度、発言が多々みられ、これは大変嬉しいことである。もっともっと気づきの幅、深さ、強さを持ってほしい。人生では信じられないことが起こりうるという前提のもと、日々の時間を大切にし、生きて欲しい。そのようなことに気づき目覚めるための学校である。

10:50~15:30 人間力講座「ブランドで攻める 日本発、中国へ。世界へ。」

(12:00~13:00 昼食、カレーライスを食べながら、生徒、先生同士で歓談。

講師:岡崎茂生 北京電通広告 第2事業本部長 ブランド・クリエーション・センター長

 

【ブランドとは】

ブランドは、長期的資産であり、消費者、従業員、株主をも含む社会との合意である。ブランド戦略(=事業戦略)は、あらゆる組織・活動にとって重要である。強いコアバリューがあれば、新しい試みを実施し、ブランドに新しい価値を追加することもできる。

 

【日本のブランドマネジメント】

日本企業では、意思、目的、構想、情熱が欠け、企業ブランドが弱く、商品ブランドに分散されている場合が多い。海外では、企業ブランドを強化し、グローバルブランドマネジメントチームがCEOに報告し、販売だけでなく、ブランドの向上に貢献度でも評価される一方、日本は分散されている。

 

【中国のブランドブランドマネジメント】

中国では、グローバル企業が中国語のブランド呼称を持ち、中国企業は、国内のブランドをグローバルブランドとして、販売戦略をたてている。

中国は単なる日本の隣国市場ではなく、中国はグローバル市場である。中国市場固有の問題点として、ブランド呼称の現地化がある。グローバル企業は、中国語バージョンとして、中国語の意味を考えつけているが、日本企業は、Panasonic松下、Honda本田、Toyota
豊田となってしまい、中国人に意味として通じない。韓国企業のサムソンは、「中国人に愛される企業に中国のために活動をしたい」とウェブ等に明記し、中国三星という名称に企業名をしている。つまり、新たに漢字バージョンでいい名前を付けるチャンスを日本企業は失っているのではないか。また、中国企業は、国内のブランドをグローバルブランドとして販売し、ブランド名称はCM戦略等、国内製品を国際化し、最初からグローバル戦略を担っている。

 

【今後のブランドマネジメントの方向性】

消費者は、企業の哲学やビジョンに共鳴し、購入を決定するようになり、ブランドがモノを売るためだけの道具ではなくなってきている。NPOでも、マーケティング、ブランディングを学び、プロジェクト活動を実施する一方で、
企業も、ブランドの認知度をあげるために、どんどん社会活動を行い、利益追求のみでなく、社会の中で自分たちがどういう存在かを示すようになってきている。

 

【余談:中国語に関して】

中国語に関してプチレッスン。中国語の簡単な文法を説明された後に、生徒が先生から日本語で出された文章を中国語に翻訳。意外と中国語に翻訳出来て、びっくりする生徒たち。先生からは、このように中国語は、日本人にとって身近で学びやすい言語である。

中国語を明日から勉強しませんという言葉で授業が締めくくられる。

 

16:00~18:00 マーケティング講座「進化する流通業の経営戦略」

講師:青木英彦 メリルリンチ日本證券(株)アナリスト

 

【日本の小売業が直面する課題】

・Eコマース市場に関して日本人が保守的であるという従来の仮説は、アマゾンの日本で

の売上高が米、独市場に次ぐ3番目の規模で覆された。

 

・アマゾンは、オペレーションでキャッシュを生み出すしくみを持ち、革新的戦略を生み出している。例)物流センターをオープン化する仕組み(FBA:
Fulfillment by Amazon

multi-channel service)やリアルとネットの新次元融合(米でのAmazon Auto Rip等)

 

【世界で起こった流通革新】

・世界では米国発の流通革新(ECR: Efficient Consumer
Response)が浸透し、小売業とメーカーが協力し非効率化から脱する体制が整う一方、日本では、うまく進んでいない。効率化のメリットを公正に分配するルール作りがボトルネックとなっているためである。その結果、発注・納品頻度と在庫量がアンバランスな日本の流通業は、小売・卸・メーカー全ての企業価値を毀損している。

 

【先端技術による高精度な需要予測】

・日本国内の成功事例として、P&Gの発注量に基づく価格体系への取引制度改革がある。小売業へ割引条件を明示し、工夫を促しコストダウンにつなげた事例である。また、ニトリやユニクロのような製造小売という流通、製造を結び付ける事例もある。特に製造小売業では、精度の高い需要予測が効率化にとって強力な武器となる。

 

・効率化の手法の一つに、需要予測の導入がある。需要予測が日本でほとんど活用されていないが、需要予測の精度が高いほど、過剰在庫が減る。ARIMAモデル(NPO法人のView
Communicationsが製品化したARIMAモデルを使った需要予測ソフト等)の導入を商品を絞って行っても結果が出る。

 

・日本の小売業が持つ問題点を正すことにより、業界が変わる可能性もある。変えることをいいことだと思わない、そんなことを言ったって変わらないという反応が多い中、若いみなさんから変わることをよしとする声を多く聞き、今日は大いに勇気づけられた。

 

18:00~ 山本校長からのコメント

・両講師から聞いた話を、何がすばらしかったかを書きしたためられるまで自分で落とし込むこと。そして、それぞれ自分がおかれた状況で、どう会社の絶対利益に貢献できるのかを常にロジカルに考え、自分が与えられた作業に全身全霊かけ、これでもかこれでもかと会社に貢献するような立場に立つように。それでこそ、両講師から聞いた話が頭に入ってくる。

 

18:10~20:00 ビュッフェスタイルにて、生徒、先生同士で歓談