人間力講座 「経営工学の視点からみたグローバルイノベーション」
講師:元橋一之 東京大学教授 工学系研究技術経営戦略専攻

イントロダクション
フラット化する社会は、インドなどの優秀な学生がどんどん台頭する
企業から見たコストパフォーマンスが優れている
日本の大学生は問題を解ける能力は高いが海外のような問題設定能力が低い
問題の一つに、何もしなくても給与水準が高く、それを維持できていること
日本に比べて給与インセンティブがより高い国は優秀な人材を輩出する
例:Microsoft社の新社長サティアは、インド人である

Appleのスティーブジョブスに習う
10年前の携帯市場は、グローバルではNokiaなどの低コスト端末が優勢
日本のメーカーはハイバリュー、コスト高だったため苦戦していた
当時Appleが電話を作ることは、馬鹿げていると評された
実際には、スマートフォンという新たなカテゴリ、新産業創生につながった

イノベーションとは何かを考える
過去、日本がよい成長曲線を描いていた時代は技術があれば競争優位と思われた
今は、技術があるだけでは全く不十分。パテントが多くても不十分
2000年以降、日本でも、”技術経営”が大事というトレンドに
技術経営は、バックグラウンドに技術知識が必要だが、儲けかたを考える
イノベーションは、”技術”を”お金”に変えること
例:耐障害性の高さは、道が整備されていないスピードの出せない国では差別化にならない
 社会の変革を考えるには、ドクター(博士課程)も必要。
突飛なアイディアを出すという環境・文化を作る事が重要

日本CTOフォーラムでの動き
日本企業のCTOを集めた会合。日本能率協会
技術が進みすぎると、顧客にとっての技術の存在意義がわからなくなり、商品の差もぼやける
差別化に繋がらない。つまり、モノや技術は、長期的には差別化になりにくい

過去の経済成長を各国でみてみる
もともと人口が多い、中国+インドの二国で1700年ごろは世界の経済の半分を担っていた
1980年ごろは、工業化された国が堅調。当時はUSAが1位。日本2位。
最近は、中国やインドのGDPシェアが上がってきた
GDPではなく、一人当たりのGDPを比較した場合、日本以降、日本の高度成長期の
ような成長をしている国が増えてきている。
あとからキャッチアップする国の方が成長が急速である(モノの模倣・情報の伝播)

時代の流れを3つのフェーズに分ける
①マニュアル経済
人口がGDPに直結
手作業、マニュアル作業
②工業経済
人口よりも、一人当たりのGDPが重要となる
インフラの整備がとても重要(鉄道・電力など)
③サイエンス経済
インフラが整備された次の経済
技術は外部から調達してくれば良い
インターネットの普及、ビックデータ解析、ナノテクノロジーなどによる
あたらしいビジネスモデル

②→③の比較
技術プッシュと市場プル → ビジネスモデル設計
プロダクトとプロセス → サイエンスとビジネスイノベーション
モノづくり → コトづくり
自前主義 → オープンイノベーション

ビックデータ
n=all,
仮設主導型のWhyではなく、What
データフィケーション
ただし多くの企業はデータを貯めたあとの使い道に困っている

※後半のワークショップに関しては議事録を省略

 

マーケティング感性講座 「問題解決×イノベーション」

講師 秋山 勝 株式会社ベーシック 代表取締役

■Web Marketing is love!
秋山勝自己紹介
→パチプロ時代
学びの場はどこにでも存在する。
興味関心は発見の素。
最大の発見は情報の非対称性。
→物流倉庫立ち上げ
→警備人形の企画・作成
→運動会企画を売る
→◎basic-50事業立ち上げ
世の中は問題にあふれている!

■イノベーションとは
→モノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすこと

■問題解決のメゾット
①誰の ②何を ③どのように?

◎イノベーションによる新サービスの勃興
1)シェア経済モデル
ex:ラクスル、印刷物イーコマース
2)クラウドソーシング
スキルを切り売りできる→正規雇用労働に影響も
3)特定商材特化型
ex:ごちクル…web×お弁当ec
4)フリー決済、手数料無料
ex:スパイク
5)その他
インスタントECやスマート農業センサーなど

■話題の企業の資金調達状況
•オールドエコノミーに対してイノベーションをもたらす場合、市場規模に支えられ多くの資金を得る状況に有る
•特に歴史ある業界にはIT人材が不足しており、その間隙をぬって新たなプレイヤーが新規参入していることも特徴
⇒既存産業×イノベーションからゲームチェンジする可能性あり

■未来の方向性
感情のベクトルを見逃さない
“できる”ことは“みんなの求めていること”ではない

■持続的イノベーションと破壊的イノベーションの影響
ex:4Kテレビ、wii、ソシャゲ、カメラ(スマホの台数)
イノベーションのジレンマ→必ずしもオールドエコノミーに限らない
ex:ヤフオク→メルカリ、Yahoo News!→Gnossy

イレギュラーを不確実性の高いところに取り入れることは難しい
イノベーションのジレンマは先端企業でも起きる

■昨今の変化

1)スマホ普及率の変化
→消費行動に大きな変化
SP:情報鮮度→”今”の行動を変えうる(ほど使える情報)

2)マルチスクリーン化
75%マルチデバイス使用

3)行動起点の変化
オンラインのアクティビティの起点はスマホから

4)変化するコミュニケーション
ex:snapchat→FB→Insta
事実を理解して肯定し、それに対して何ができるか考える

5)モノがデジタル、データ化
ex:アップルの電気自動車
モジュール化で新たなメーカーの勃興を促進

6)身近になった世界
グローバリゼーションは既に普通の話
左脳型→システムに置き換わる
右脳型→創造的な仕事
イノベーションの恩恵をどう受けるのか?

■イノベーションの恩恵
•情報の均一化(非対称性是正)
•ハードの低価格化(リスク軽減)
•ツールの高機能化(企業競争力)
•人材の流入(ハイレベル人材)
•コミュニティーの発展(SNS、コネ)
•資本の流入(早期の本格展開)
→いかに組み合わせるか。自らコントロールする!

問題解決が最優先→富みは後からついてくる
問題見つけたら即行動!!<先行者利益>

※参考フレームワーク:「リーンキャンバス」

~まとめ~
イノベーションがもたらす恩恵を手にし問題解決するために、最も必要なこと。
→“理想”を持つ、ということ

イノベーションは手段であり、事業創造=問題解決するためにはより良い世界をイメージすること。

問題は問題と認識することから
“理想”――エネルギーになる。イノベーションが自分の力になる
「こうありたい」を持つか否か
問題意識を持つためには心の機微を見逃さないこと