マーケティング感性講座 「株式会社コーセーのグローバル戦略」

講師 小林正典 株式会社コーセー 常務取締役

 

①    企業紹介

■概要

・2013年時点 売上約1,900億円

・1946年 創業者小林孝三郎が「新日本建設」を志し、50歳で起業。

・2000年 東証一部上場

 

■特徴

・1963年ロレアル社と事業提携を皮切りに、その後も、多様なブランド・企業と提携を実施

・新しいカテゴリー(「美容液」「パウダーファンデーション」)を開発

・一つ一つが特別に大きくはないが、多様な価値観に対応したブランドを多数持ち、適したマーケットに配置

 

■革新的な研究体制を構築

・4つの研究所を持ち、200名の研究員を抱える

・世界的な権威のある雑誌(IFSCC、Cell、Cosminnov)にもその研究成果が掲載

 

■感性に訴えるデザインを生み出す

・社内にパッケージデザイナーを抱えながら、マルセルワンダースのような著名なデザイナーも起用

・デザイン(および香料)について、全ての商品において創業者一族による決裁が行われ、一貫した価値観を貫いている

 

■優れたサービスを提供

・モノづくりだけではなく、消費者の期待を上回るサービスも提供

・直近においては、表参道にサロンを開設

 

②    海外展開について

・KOSEグループの位置は、プレミアムスキンケアカテゴリーにおいて、アジア市場6位、世界市場7位

・海外展開はアジア中心。海外売上の7割が中華圏。

 

■海外展開骨子

・コアビジネスは、中華人を対象としたプレステージマーケット。ここを攻略し、チャネルとして、オンラインやトラベルリテールなどに波及へ。

・コアとは異なる軸として、北米、ヨーロッパ、南アジアへの進出。

 

■プレステージビジネス戦略

・重点ブランドとして、売上のコアとなるべくアジア地区で認知度の高い雪肌精を、ハイプレステージ市場においてはコスメデコルテを、ファッションカテゴリー市場においてはジルスチュアートを配置。それぞれを育成・拡大させる。

 

■オンラインビジネス戦略

・拡大する中国オンラインビジネスに注力

 

■トラベルリテールビジネス戦略

・免税市場規模の大きい中国、韓国市場、およびアジア各航空会社の機内誌での取り扱いを増やしていく

 

■欧米、南アジアビジネス戦略

・北米において、現地においてプレゼンスのある「タルト」を買収。

・ヨーロッパにおいて、イタリアではコスメデコルテを扱い、ハイプレステージ市場を攻略。ドイツ、イギリスでは、ライスパワーのような日本的なアイデンティティーのある商品を導入。

・インドにおいて、現地子会社を設立しインド独自のブランドを立ち上げる。

 

■グローバルビジネスを行う上で重要と捉えている点

・政治状況を理解し、その国が所属する経済圏を意識する事。

・化粧品はその国の文化に影響されるので、その国だけではなく、その国がどこの文化圏に影響されているのかを把握する事。

・人々の価値観および人種特有の文化を理解した上で、自社のオリジンと、ローカルの文化のバランスをとって攻略していく事。