第4回GP議事録(8月13日)
人間力講座 「ブランドで組織の壁を乗り越えろ」
講師: 愛知東邦大学 経営学部 教授  上條憲二

第1部
「ブランドとは」
┗「頭の中」に存在するイメージの「貯金箱」である。(ロゴマーク=貯金箱のカギ)
┗ 顧客の頭の中に「確たる評判」というハンコを押す役割
┗「機能的価値(左脳的)」と「情緒的価値(右脳的)」の融合から生まれる。(モノ<物語)
(機能的価値は模倣されやすいが、情緒的価値は独自性が強い。情緒がブランドを強くする。)
┗事業戦略を実現するドライブとなるべきもの
┗固有の価値をもつ「らしさ」(=確たる評判)とは、
①その企業に「意志」がある。
②社会と顧客のニーズを満たす。
③他社との違いがある。

◉ ブランド(確たる評判=らしさ)が確立できると…
┗「長期的な利益」の源泉となる、顧客への効果と社員への効果を同時に得られる
顧客への効果:他社との差別化。価格競争を回避。顧客の固定化。
社員への効果:社員を採用しやすくなる。社員が転職しなくなる。社員の意欲を高める。

◉ 「確たる評判」を確立するために重要な要素(これら3つの連動が不可欠)
1.ブランドの基本原則×2.事業活動×3.ブランドシンボル

◉ ブランドの基本原則
① コンセプト =一言にすると、どのようなブランドか
② プラットフォーム
┗ビジョン:ブランドの志や夢、存在意義(目的)
┗ミッション:ブランドの志や夢を実現するためにすべきこと(手段)
┗ブランドバリュー:ブランドが顧客に提供する価値観(結果)
※ブランドの基本原則を人間に例えると目指す方向性が見えやすくなる

◉ 事業活動
┗経営理念、コンセプトに基づいたブランド体系とマーケティング活動

◉ ブランドシンボル
┗ブランドが提供する価値を社内外に約束するしるし

「ブランディングの設計図」
1.マーケティング環境(現状の把握)
外部環境
┗マクロ環境 PEST(政治・経済・社会・技術・的要因)
┗ミクロ環境 ①業界・市場環境 ②競合環境 ③顧客
上記外環境が自社にもたらす影響を考慮。「大事なポイント」をピックアップする
内部経営環境
┗経営レベル・製品レベル・販売レベル・技術レベル・企業ブランドイメージ・社員の認識

2.マーケティング課題の整理・分析
┗SWOT分析
外部環境(機会・脅威)×内部環境(強み・弱み)をクロスさせ分析する
・機会×強み=「積極攻撃」戦略
・機会×弱み=「段階的施策」戦略
・脅威×強み=「差別化」戦略
・脅威×弱み=「専守防衛」「撤退」戦略
┗3C分析
・自社(Company)の意志(何をしたいのか)
・顧客(Customer)のニーズ(何を求めているか)
・競合(Competitor)優位性はあるか(競合に対する自社の能力)

3.戦略立案
◉ ブランディングとは…抽象的な概念を「具体的に目に見える形」にすること
┗ブランドビンゴ:ブランドを別のものに例える(投映法)
◉ ブランドコンセプト(プロポジション)…一言で、何を提供/約束するブランドかを表現
┗シンプルでわかりやすい。競合との差別化ができている。社員の求心力になるもの。

  1. 展開
    ◉ブランドステートメント…ブランドの志や存在理由を分かりやすく述べたもの
    ◉ブランドパーソナリティ…ブランドの人柄。印象の基準(形容詞、副詞などで表現)
    ◉ブランド(コミュニケーション)ガイドラインの作成…「らしさ」を決める要素

5.活動検証
◉効果測定調査を行う。商品・流通・プロモーション戦略の活動成果を検証

6.施策修正
◉検証に基づき問題点、評価点、課題点を明確化し、次期マーケティング戦略を立案

第2部
ワークショップ:
実在する野球チームを例に、ブランディングシミュレーション
1) 分析シミュレーション (SWOT分析)
2) プロポジションリスト作成
3) ブランドビジョン作成
4) ブランドステートメント/スローガン作成
受講者案例:
「オトナがたしなむ野球」「五感と頭脳で楽しむ野球」