第6回GP議事録(2017年10月14日)

第1部「グローバル時代におけるリーダーの器」

講師:吉田 寿 様 (ビジネスコーチ株式会社 常務取締役 チーフHRビジネスオフィサー)

■1:日本企業はこのままでは勝てない

・日本の人口の長期的かつ劇的な減少により日本の未来はあまりバラ色ではない。
1000年単位の歴史で見ても、世界に類を見ない極めて大きな人口減少が起きている。

・世界経済における日本のプレゼンスの低下は歴然としている。
世界のGDPにおける主要国の割合は、2030年の予測では中国が日本の4倍の経済国となり、
アメリカを抜いて世界一の座を占めると予想される。

・日本の競争力は長期低落傾向にある。
「IMD国際競争力」の順位では90年頃は世界1位であったが、現在は26位まで低下している。

・海外勤務を嫌う日本人社員の増加により、内向き志向が鮮明になっている。

・「世界で闘える人材」が求められ、日本企業の最大の課題は
「グローバル化を推進する国内人材の確保・育成」であると企業は高い問題意識を持っている。

・グローバル人材マネジメントのインフラ整備が進み、

①「グローバル・グレード制」
②グローバル人材データベース、
③適所適材(タレントマネジメント)

の3点セットが重要となっている。

■2:グローバル人材育成への大転換

・2010年は日系企業によとって「グローバル人材育成元年」と位置づけられ、
日本の企業がグローバル人材育成に向けて急速なシフトを図った。
(例:楽天、ファーストリテイリング、日立製作所など)

・グローバル人材の要件は

①「仕事力(卓越した専門性/知的資本)」
②「人間力(パーソナリティ/人間関係資本)」
③「語学力(グロービッシュ/Global English)」

である。

・真の「マネジメント」と「リーダーシップ」を身につける必要がある。
「マネジメント」の本質的役割とは現状を維持・拡大すること、
「リーダーシップ」の本質的役割は組織を変革することである。
(資料:ジョン・P・コッター『リーダーシップ論』)

・タレントサイクルによるマネジメントを行い、早期タイミングで次世代リーダーを選抜する仕組みを持つ。

・グローバルビジネスにおいて日本人が民族的に弱い3つのポイント「異文化マネジメント」「ネゴシエーション」
「プレゼンテーション」を強化する必要がある。

■3:グローバルに通用する「人間力」を磨く

・人間力=トータル的な人材の価値 or 人間的魅力度
「達成動機」「感じる知性(EQ)」「高潔なる志(インテグリティ)」
これらが、仕事の重要な局面で絶大な武器となる。グローバルに通用する人材にも「人間力」が問われている。

・いつも成果を出せる人の秘密は、「人間力」である。ツール小手先のスキルやノウハウの問題ではない。
・成果創出の決め手は外見の威力(熱意、やる気、気迫、冷静さなど)、内面が外見に出る。
自分の会社の大事を委ねようと考える相手なら、最後の最後はきわめて人間的な要素に依存する。

・人間力とは…その人の生まれ持った性格や資質を基礎とし、仕事で培った能力や経験を加味することでその幅を増し、
さらにそれらの知見を総動員して事に当たることで発現される対人影響力。一般的には「総合力」と表現する場合も多い。
多くのビジネスシーンにおいて最終的な「成果」に結びつく絶対的な要素となる。努力次第で後天的に身につけられるものである。

・自分自身のキャリアアンカー(生涯にわたって追及していく志向性や価値観)を出発点として、
キャリア・デザインに基づく仮説検証行動を何度も繰り返し、最終的なキャリアビジョンを実現する。

・職業人生のVSOP+Pモデル

20代 Vitality 活力/30代 Speciality 専門性/40代 Originality 独自性/
50代 Personality 人間力/60代 Philosophy 哲学(資料:新将命「リーダーの教科書」)

・ブレない軸をつくるため「リベラルアーツ」の重要性が高まっている。

・ビジネスパーソンとしての資質(①楽観性、②柔軟性、③バランス感覚)を磨き抜く。