第3回グローバルプロフェッショナルズ 議事録

日時:平成25年7月13日(土)10:30~18:00

■人間力講座

『グローバル時代におけるリーダーの器』
講師:三菱UFJリサーチ&コンサルティング
組織人事戦略部(東京)プリンシパル 吉田寿

Ⅰ.日本企業はこのままでは勝てない(10:30~12:00)
人口が減少中の日本において、日本の競争力やGDP規模の現実を知った上で、海外へ出る必要性が高まっている。
しかしグローバル化の波が差し迫ってきている中、ビジネスパーソンの内向き志向が鮮明となってきており、
グローバル人材を必要としている企業側とのギャップが大きくなってしまっている。

企業が積極的にグローバル人材を以下の3点セットを中心に活用する流れが生まれてきている。
1.グローバル・グレード制
リーダー人材の育成方針を世界で統一し、それぞれのポジションがどのグレードであるかを分かりやすくする。職務等級制度への移行。
・職能資格制度から職務等級制度への転換について
職能資格制度は職務遂行能力が基準となるため年齢に比例しやすいが、実績や成果に比例するわけではない。
成果や仕事中心の職務等級制度がグローバル環境では、分かりやすいためスタンダードな制度となっている。

2.人材データベースの整備
人的資本を有効に活用するためのアプローチとして用いられる。
その際、海外も含めたグループ全体で構成することで「グローバル・グレード制」との相乗効果を期待できる。

3.適所適材
タレントマネジメント。適材適所ではなく適所適材。
ポテンシャルが高い社員をマネジメントする。(反対はコモディティ社員)
Capacity(組織の潜在的可能性), Capability(能力), Culture(組織文化), Engagement(一体感)の4つの側面から考える。
ローカル人材(現地採用など)とグローバル人材にはハードルが存在し、
そのハードルを乗り越えることが出来れば世界の舞台で活躍することが出来るようになる。

コンピテンシーの注意点や問題点
・曖昧な言葉で終わってしまう事
・現場レベルで使えないものになってしまう事
・評価する側の認識

評価の測定方法について
例:戦略的思考性を測る場合に必要な事
・1~5などに分けられたレベルに応じた評価軸の説明をきちんと伝えられるか
・評価そのものを正しく行うために、それぞれの場面で考えながら社員を観察することが必要
・評価されなくても社員が納得できる環境を構築する

会社を変えていくために何から取り組むべきか
まずは制度を変えること。会社の意志が伝わりやすい。
その後仕組みや内容を変えて、最終的に会社を変えていく。
Ⅱ.グローバル人材育成への大転換(13:00~15:00)
グローバル人材の定義
日本人としてアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性を持った人物。
私たちが日本人であることは免れない。アイデンティティの必要性。
実務上の能力と教養が必要(リベラルアーツ)

グローバル人材となるべく必要なこと
1.仕事力
2.人間力
3.語学力
まずは仕事が出来ること。
マネジメントスキル(PDCAを回す)とリーダーシップ(人を動かす力)を身に着ける。
その他に「ストレス耐性」「前向きな姿勢」「楽観的思考」(アサヒビールの場合)など。

ナインブロック
パフォーマンスとバリューを高め、ロールモデルを目指す
9つのブロックに誰が入るか(適所適材)
(GEのナインブロックを参照に説明)

育成における第一歩
「動機」をまず考える。自分に向く仕事とやりたい仕事に違いがある場合もある。
社会人基礎力を身につける。
ネゴシエーション・異文化マネジメント・プレゼンテーションスキルを磨く

育成のための組織創り
方向を明確にする
ES(従業員満足度)を上げるために大きなことは不要。工夫が大事。
一つでも良いので価値観を共有する。
何よりも文化や行動パターンに「違い」があることを理解する
Ⅲ.グローバルに通用する「人間力」を磨く(15:00~16:00)
人間力とは
「これは彼(彼女)の人間力のなせるワザ」と思わせる能力。
成果創出に不可欠で成果主義の導入により必要となり始めた。

人間力をどう磨くか
大志を抱くことや努力を確信すること、等6項目
心の豊かさが人間力に繋がっていく
「知・徳・体」のバランス

VSOPモデル キャリアづくりのキーワード
20代はVitality, 30代はSpeciality, 40代はOriginality, 50代はPersonality
新しく、60代はPhilosophy

カリスマは一夜にしてならず
圧倒的な実績が必要
これまでのキャリアは消せない。否定することも出来ない。
学び続ける覚悟
■マーケティング講座

『グローバル・ソロモンになろう』(16:00~18:00)
講師:エキスパート科学研究所 平田謙次

Ⅰ.アジア・グローバル人材調査
日本学生は他アジア国の学生より異文化交流経験が少ない
韓国やタイ、マレーシアの学生は、世界に出ていっても将来は自国に戻ることを希望している
一つの会社だけでキャリアを積みたい意識が最も強いのが日本
日本人学生も内向きとは言えないが、アジアの学生は圧倒的に外を向いている

Ⅱ.グローバルビジネスを難しくする要因
環境要因
組織面:宗教や学習習慣などのギャップ
ビジネスモデル:関税や規制、商習慣などのギャップ
その他:食事や生活習慣などのギャップ

個人要因
個人の認知バイアス:偏見や過剰一般化が原因で誤解を引き起こす
自国優越主義:食事、文化、教育など
外国人バイアス:同じ遅刻であっても日本人と外国人では捉え方が異なる(ステレオタイプの誤用)
プロトコル:コミュニケーションルールや作業のルールの違いを共有できない
など

私たちは知らず知らずのうちに、バイアスがかかった状態で物事を判断しているかもしれない。
視野を広く保ち、ギャップや壁の存在を知ることが必要。
Ⅲ.グローバルビジネスを展開する上で必要な事
マネジメント行動からみたグローバル人材の働き方:利用価値人材、資源価値人材、資産価値人材に分けられる。誰がどの人材に当てはまるか。適所適材の考え方。圧倒的多くが利用価値人材。グローバルで活躍するには、資産価値人材が最も求められるところ。

グローバルでのマネジメントの具体的方法:ジョブ・リエンジニアリング(Job Cube)担当業務/タスク、業務背景、インプット、個人状況、アウトカム、アイデンティティから構成される。Cube型から展開するイメージで抜本的に見直す(リエンジニアリング)ことが出来る。
アイデンティティ(Job Cubeの1要素):対仕事や対生活の各項目に置いてアイデンティティ状態が確立出来ているかどうか改めて考え直す。
【宿題】
自分が思うグローバルな人材とは?
これまでの話を踏まえて自分で考えてみる。

【所見】
第一歩として私たちが置かれている状況を正しく捉え、グローバル人材への変化の必要性を理解する。
さらにグローバル人材となるために、人間力の向上や業務への取り組み方も変えていくことが必要である。