【人間力講座】
●テーマ: ブランドらしさのつくり方
●日時 : 2015年1月17日(土) 10:30~15:30
●場所 : 資生堂パーラー9F
●講師 : 株式会社博報堂 コンサルティング局 ブランドデザイン部 竹内 慶
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●講義
◆目次
第1部 ブランドの基礎
第2部 ブランディングの方法論
第3部 五感ブランディングの具体例
第4部 体験セッション
第5部 まとめ
◆第1部 ブランドの基礎
・ブランドに関するYES/NO
- 高級品のことではない
- 値段の高い、安いではない
→お客様に価値があるもの
・ブランドは、モノのみに当てはまるものではありません
- モノやサービス等などに顧客の価値や認識や感情が付加されたこと
- “銀座”と聞いて思い浮かぶことは?
歩行者天国、高級、休日、三越、GP、地方からの憧れ
画廊、洗練<、デパートが多い、高級ブランド店、資生堂パーラー etc
→属性、機能的価値、情緒的価値、社会的価値、パーソナリティ、ターゲット、シンボル
で分類・分析できる
→連想される全てがブランドを形作る
・ブランドは、広告で作られるのか?
- ブランド、生活者との様々な接点の総体として形成されるもの
- ブランド構築は広告やマーク開発だけで担えるものではありません
- ブランドの対象は、顧客だけ?
顧客はブランドの重要な相手
インナーブランド
インナー = 従業員をブランドの主役として重視
強いブランドを維持るには、トップから従業員1人ひとりに至るまで
強い求心力を持った思い、行動が必要
・ブランドとは...
- ブランドは、顧客との間に長く強い精神的な絆を作る
- ブランドは、他にない価値を明確とする
- ブランドは、価格の安定に繋がる(例: 関サバ →ブランドサバ)
- ブランドは、様々な活動の判断基準になる(ブランドらしさ)
- ブランドは、強いチームワークを実現する
・ブランドは明確に定義されていない
ブランド = 経営資源
・ブランドデザイン
社会にとって価値ある魅力的な個性(=らしさ)
・ブランドの概念の変遷
1980年 : 手段としてのブランドイメージ
1990年 : 結果としてのブランドエクイティ
2000年 : 起点としてのブランドアイデンティティ
これから: 共創としてしてのブランドコミュニティ
・共創としてしてのブランドの背景
社会の変化、右肩上がりの高度経済成長の崩壊、本当に必要なもの吟味などによる
競争から共創への変化
・著書紹介
「タイトル: 思考停止ワード44」
◆第2部 ブランディングの方法論
・ブランティングの基本プロセス
- インプット
- コンセプト
- アウトプット
・代表的な調べる方法
- デスクリサーチ
- 定量調査
- 定性調査
・ブランティングで活用する調査手法(例)
- 企業の意思視点
- ブランド資産の視点
- 生活者視点の視点
・ブランドの現状分析のための調査指標(例)
- ブランドボンディング
- ブランドパーソナリティ・インデックス
1.インプットフェーズのポイント
(1)ブランドのインサイトを探るための「文章完成法」調査(例)
ブランドAを色にたとえると、( )だ
ブランドAを音にたとえると、( )だ
ブランドA + ( ) = 満足
※日々の調査にプラスする
(2)ビジネスエスノグラフィ
対象者の生活文脈を把握
(3)シャドーイング
(4)フライ・オン・ザ・ウォール
(5)モバイル(フォト)エスノグラフィー
(6)メタファー抽出法(ZMET)
従来の調査にプラスして、顧客の潜在意識にどうアプローチするかを考える
2.コンセプトフェーズのポイント
(1)重要性(3つのK)
①理解進む
優れたコンセプトだと内容理解が容易となり、人々の記録に残り易い
②やるべきことがわかる
優れたコンセプトはゴール層や向かう方向が明確のため、人々を動かす力
を生み出す
③発想が拡がる
優れたコンセプトは単なる言い当てではなく、次のアイデアが浮かぶ
(2)コンセプト開発のための発想法
①「だから/なのに」
例) アイドルだから、憧れの存在
アイドルなのに、ぐっと身近
②正反対ハイブリッド
例) 名もないもの/良いもの →無印良品
③もとネタの軸ずらし
④"誰のため"の明確化
⑤似たもの探し
モノ、人、空間に例えてみる
(3)ブランドプラットフォーム
①ブランドバリュー
ブランドの提供する価値内容を規定
②ブランドスタイル
ブランド表現のデザインテイストを規定
※ケースによっては、コミュニティから構築することもある
(4)コンセプト策定
できるだけ多くのステークホルダーを巻き込むこと
(5)ブランドに正解不正解はない
3.アウトプットフェーズのポイント
(1)タッチポイントのブランド設計
顧客体験シナリオ(五感体験×感情)
ビジョンを具現化するシンボリック
(2)顧客のトータルな体験をデザインすることが重要
(3)五感とブランドロイヤリティ
(4)ブランド体験と五感
顧客体験・五感のデザイン → 体験価値の創造が重要
◆第3部 五感ブランディングの具体例
仮想ケース: 新宿駅のリブランディング
博報堂ブランドデザイン著: 「ブランドらしさのつくり方」の抜粋
2006年の事例(仮想のケーススタディ)
アウトプット
・視覚、聴覚、手触り、嗅覚の調査
・新宿五感調査 ファインディングス
・新宿駅の思い出(同伴型タッチポイントリサーチ)
・新しい新宿駅のブランドプラットフォームの作成
・新しい新宿駅のブランドスタイル詳細の作成
・新しい新宿駅の世界観ボードの作成
・五感因子キーワードの作成
・新しい新宿駅の五感設計書の作成
新しい新宿駅の五感設計書を元に以下作成
-新しい新宿駅の五感イメージBOXの作成
-新しい新宿駅の中央地下通路パース案の作成
-新しい新宿駅の味覚の作成
◆第4部 体験セッション
・グループワーク: 1グループ8名で4グループ
・テーマ: GPスクールのブランドらしさ
◆第5部 まとめ
・ブランドの概念の変遷
1980年 : 手段としてのブランドイメージ
1990年 : 結果としてのブランドエクイティ
2000年 : 起点としてのブランドアイデンティティ
これから: 共創としてしてのブランドコミュニティ
・これからのブランディング
志やビジョンを掲げながら、らしさを明確にしながら、その活動に共感する仲間を集める行為へ
・ブランドに不可欠な3要素
志: 将来、ビジョン
形: 独自性のある象徴的なもの
属: 応援してるサポーターやファン
以 上
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GP第9期 第9回講座
マーケ感性講座
“Good Works! -欧米の事例やノウハウを起点に「社会と向き合う」これからのマーケティングを考える”
日時:2015年1月17日(土)
時間:16:00-18:00
講師:株式会社電通 マーケティングソリューション局 第2マーケティングディレクション室 マーケティングマネジメント2部
梅津 由美子スーパーバイザー
I. Good Works!とは
・「より良い世界とより良い企業収益」 フィリップ・コトラー教授著
・事例の根底: イメージアップの為に善いことを行う
↓↑
善いことをして良い業績を残す
・We’ll look better, feel better, do better and live longer!
・Good Works!の意味するもの
出来が良い仕事/ これぞ「善き仕事」/ Good はWorkする!
「Social Good(社会善)」のパラダイムシフト
II. なぜ、今、日本でもGood Works!?
・企業をGW! に導く、二つの社会的潮流
-CSV とは
CSR+CSV(Creating Share Value:共通価値の創造)
とBrand Purpose でGood Works
CSVの3つの方法(マイケルE・ポーター)
例1. 製品と市場を見直す
例2. バリューチェーンの生産性を再定義する
(ユニリーバーの事例)
例3. 地域社会にクラスターを形成する
(ユニクロの事例)
-Brand Purposeとは
ブランドの“志”存在目的。Purpose はマーケティングの5つ目の“P”
(Dove の事例:幸せな時間を作り出す-あらゆる女性のその人らしい美しさを実現する。)
・背景にある基本的な考え方:社会善のパラダイムシフト
・日本でもSocial Good に積極的に取組むべき3つの理由
-グローバルトレンドは必ず日本にも。
持続可能な環境に配慮(ポジティブに対応)する商品については高い価格を払っても良いと答える割合推移。(ニールセン調査)
2011年:45%、2012年:50%、2014年55%
(Kit Katの事例、Green Peaceの事例)
-311で変わった社会への意識
-ソーシャルメディア時代の企業と消費者の関係
III. GW!から何を学ぶか
・米国企業の社会的取り組み/コーズマーケティング
(ユニリーバー、コカコーラ、ペプシ、American Express、Master Cardの取組み)
米国はコーズスポンサーシップの支出推移は毎年増加。
・日本での企画提案の経験から(問題点)
日本でも見られるようになった社会貢献型マーケティング
(味の素の事例紹介)
・GW! から学んだこと
その1:WIN-WINのデリケートなバランスへの執念
企業の利益と社会の利益のバランス
デリケートはバランスに挑戦しノウハウを蓄積
その2:Social Good に取り組むスタンスが明確
企業のCSR/CSVの考え方、社会と向き合うスタンス
「確固たるスタンス」
その3:Social Good をビジネスとして成功させる専門性
<綿密な設計能力
IV. 欧米事例から読み取る企画のヒント?
1. ブランドを強くする
1-1.自らの「存在目的」を明確にしブランド価値を高める
・Doveの取組み-女性達の為のSelf Esteam(自己肯定感)教育プログラム
・Lens Creftersの取組み-「見える」と言う贈り物を私達の手で届けます。
途上国に中古眼鏡を提供する→インナーブランドでもある。
1-2.消費者との「共創」を通じ絆を強化する。
・Avonの取組み-女性の為の社会。乳がん啓発、患者支援。
1-3.「善意識」、「スタイル」を呈示、強いパーソナリティを創造する。
1-4.「物語」を創り、ブランドの核となる人に伝えたくなる「伝道師」を増やすストーリー
2. ビジネスチャンスを生む
2-1.ビジネスに新機軸をもたらす。
マイノリティの人々の活動や価値観を尊重するSocial Good的な視点が普遍的な発見、商品コンセプト開発に繋がった。
2-2.新しいニーズ発掘
社会的な気づきが新しいニーズや使用シーン発見い繋がった。
・住友化学のマラリアへの取り組み。
2-3.市場創造
啓発することにより、結果的に市場が育つ
・ユニリーバーのライフキャンペーン
2-4.イノベーションの創出
社会的課題を起点にすると従来とは違うイノベーションが生まれる事も
3. クリエイティブなWIN-WIN
3-1.企業/商品の中に“ソーシャル”との接点を見つける
社会のWIN-企業のWINをどう繋げるか。
3-2.社会課題解決で商品力の光を当てる
・野鳥の洗浄-肌に優しい洗剤
3-3.“共通の目的”を持つNPOと組む
・妊婦さんへの啓発-妊娠検査薬ブランド
3-4.啓発活動が自社のメリットに繋がる
・ながら運転防止の啓発-保険金支出低減(自動車保険)
3-5.ムーブメントと受け皿を自ら用意する。
・犬猫の里親になろうキャンペーン-ペットショップの来店促進
3-6.NPOの持つ力を借りる
・チャリティグッズで寄付イベントが盛り上る-NPOを支援するタレントや番組と連携できる。
4. Social Good だからこそ可能なエナジー
4-1.異業種企業が手を結ぶ(企業間エナジー)
・Box Topやベルマークなど。
4-2.メーカー、流通が手を結ぶ
・TESCO-ユニリーバのキャンペーンなど。
4-3.国、行政との廉価意
時自体、NPO、地域メディアが連携し地域ぐるみで節水。
4-4.“施策ミックス”の考え方(社にの部署間シナジー)
全社視点で部署横断で企画していくことの重要性
5. Social Good を「競争力」につなげるコミュニケーション
5-1.コミュニケーションは企業と社会のWIN-WINに消費者を招き入れる物
5-2.Social Goodを消費者へのベネフィットに転換する。
5-3.継続的に巻き込むために重要なのは丁寧なコミュニケーションと参加可能な活動の充実。
5-4.特に日本ではSocial Goodに関連する情報が少ない為、
まだ顕在化していない意識を目覚めさせることが時に必要。
V. 日本版Good Works! をめざして
・「社会との向き合い」戦略、企画立案の為のフレーム、社会にとっての重要性、企業にとっての重要性。
・その企業の素晴らしいソーシャルブランディングへ
・コミュニケーションとアイデアのチカラで社会を良くしてゆく。
(王子ネピア「千のトイレプロジェクト」の取り組み)
(ヤフージャパン「Search for 3.11 project」の取り組み)
(阪神タイガース「Tigers save Tigers!」の取り組み)
(LOVE CAKEプロジェクトの取り組み)
(トヨタ「Change The Future Project」の取り組み)
紹介。
以上