speaker:アビシェ-ク・クマール(Founder & CEO Crystal Gaze LLC)
date & place:2010.9.18 東京銀座資生堂ビル9階にて
クマールです。本日はどこかの会社、団体などの代表としてではなく、私は個人としてわかる・把握インドについて説明させていただきます。まず、誤解がないように。インドを知っているインド人はそれほどいません。それほど文化、経済、社会分野がひろい。気候も言語も様々。分類分けすることがむずかしい。インド人は優秀ですねといわれますがこれは人口が多いから、優秀な人が多く見えるだけです。
いまのインドのIT産業の基盤は1991年に暗殺されたラジブ・ガンディー元首相のときに築かれています。存命していれば今の倍以上の経済成長・インフラ整備が進んだんではと個人的に思うほど、ラジブ・ガンディーは先進的で技術のことをよく知っていましたね。
インド経済は1991年がひとつの分水嶺になります。1991年までは社会主義の考え方で国家主導で経済を推し進めていった。
やがて国家負債が蓄積されてきて市場を自由化することになった。GDPは2030年までに3位にまで躍り出るだろうといわれています。GDPについてですが、個人的な意見としては、GDP総額は正式発表値より2割増しあるんじゃないかな。というのも脱税する人が多いんですね。マーケティングの観点にたてば、高所得者が高額商品を買わない傾向にあるといえるかもしれません。高額商品を買うと国税庁に睨れるかもしれませんから。
ミドルクラスは3億人程度といわれています。教育を受けている層なので今後の経済・政治をうごかすだろうと各機関から注目されていますね(※1)。貧困層の割合は発表機関によって様々。政府の公式発表では36%、UNなど他の主要国レポートによれば50%以上といわれている。格差がとてつもなくある。人口の半分は貧困ライン以下なのに、ビリオネア世界3位、ミリオネア世界13位。
※1
夫婦どちらが財布をにぎるかについて。地域や家族の考え方によってかわってきますが、中間層については二人でじっくり話しあって決めるというケースが多いような気がします。
政治の潮流としては、1977年〜1979年に短期政権、1989〜1991年に首相の交代が何度かありました。ここ最近は人民党と国民会議派とが戦っている状態。ラフール・ガンディーがつぎの首相候補として名前が挙がっています。80年代までの政治スローガンは「食、衣、住」だったけれど、最近は「電気、インフラ、水」にかわってきている。現政権のマニフェストにあげている社会課題はインフラの未整備です。
インドの農業。GDP比率は17%なのに産業比率は52%、効率が悪いですね。IT産業。トップクラスであるTCS、Infosys、Wiproにいたっては15万人をこえる従業員数を誇ります。ちなみに、インドIT企業の顧客先としての日本企業の全体割合は3%程度。これから徐々にふえてくるでしょう。製薬、石油業界が強い。外資系では韓国系の成長が著しいですね。
輸入でいちばんおおきいのは石油。輸出は加工済ダイアモンド、衣服、最近は自動車部品など。
インドでは口コミがとても影響力をもっている。本当の「口」コミです。インターネット普及率は10%以下なんですね。なので現時点ではマーケティングツールとしてはテレビが依然主流です。インタネット利用者は殆ど何らかのソーシャルネットワークを利用し、以前Orkutの利用者が多く、現在Facebookがかなり普及してきています。電話の普及は固定より携帯にシフトしています。というのも電話回線をひくのに2年かかったりしますから。こういった事情から、ネットの普及もケーブルをひくよりはモバイル端末での普及に力がいれられるのではと思います。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=gstRrEmTcBc
88年に政府が後押ししてつくったビデオです。
人口構成はマーケティングには魅力的ですね。65%が35才以下。おもしろいのはベジタリアンの比率が31%もある、卵も魚も消費しない。家庭によっては台所がベジタリアン用にあるところもある。
パルシー教。人口比率のなかでは非常に低いのですが、ビジネスではものすごく強いです。
各地のお祭り。とても大規模で数もたくさんある。マーケティングの対象としておもしろい対象ですね。皆は新しい物(テレビ、電化製品、自動車、服、プレゼントなど)を買います。
インドの結婚式もマーケティング対象としておもしろいですね。北インドの結婚式ではフランス製のシャンパンがおおく用いられていて、メーカーが生産調整においこまれました。
クリケット。スポーツというより宗教ですね。来年、F1が2011年に始めて開催されますね。
“The Times of India”英字日刊紙で世界一。ビジネス上で交流するにはLinked Inは重要でしょう。入っていないビジネスマンはいないといって良いんじゃないか。
インドが直面している主な問題。カシミール、テロなど軍事予算がおおいこと。
以上が現在のインドの概況となります。