グローバルプロフェッショナルズ創造戦略プロジェクト
第3回講義議事録

第1部 「ファシリーダーが世界を変える」
講師:谷益美氏 Office 123 代表/早稲田大学ビジネススクール・岡山大学 非常勤講師

Introduction
まず2つ質問をします。隣の人と取り組んでください。

ワーク1:世界を変える-とはどういうことか?(2分で議論)
受講者の回答:
1.新しい文化・価値観を生み出して、誰かにとっての習慣にする。
2.知った後に行動すること、この積み重ね。
3.誰かが変えてくれるのではなく、自分が変わる。

ワーク2:世界とは(2分で議論)
受講者の回答:
1.Actualの目に見える世界で一方は考えていたが、もう一人は見えない自分の世界と考えていた。
2.グローバルと考えて自分は話していたが、相手は自分の周りの外的環境・内的環境について話していた。

【議論をすすめる上で大切なこと】
■この2つのワークからわかることは、前提がずれていると議論がずれていくということ。
ワーク1を行う上で、その前提となる”世界”をグローバルと考えるか・それとも身近なところと考えるか。物質世界なのか・それとも精神世界なのか。それで議論がずれていってしまう。
■このように前提をそろえないまま議論をする場がとても多い。だから、イメージ共有から始めるというのはとても大切なこと。私が一番大切にしているのは、皆が違うことを思ってこの場に来ている、多様性があるということを前提にするということ。

【ファシリテーションとは】
■ファシリテーション=複数の人たちが集まった場をどのように進めていくか。チーム活動をどのように進めていくかのコミュニケーションのスキル。
■会議だけではなく、周りの人たちにポジティブな影響を与えたい時、意見を引き出したい時はいつでも必要。
■複数の人がいる場で時間通りに終らせようとすると、それぞれが発言時間をコントロールすることが大切。
→まずは箇条書きでいいたいこと=趣旨のNo付けを心がける。

ワーク3:この講義で知りたい事についてチームで意見だしをする(5分)
受講者の解答:会議で自分の意見を言わない人から引き出す/白熱しての脱線から元に戻す/合意形成のもって行き方/判断基準の作り方/違う方向を向いている人たちを同じ方向に向かせるには?/小さいアイデアをディスカッションしながら、昇華させていく方法/さまざまな意見をどうまとめるか/ファシリテーションとは?/アイスブレイクさせる方法/参加者意識をどう引き出すか/多様性をどう共有するか/様々な人への価値観への伝え方/違う意見の受け止め方のコツ/準備を短くするコツ

【会議でケアするようにしている2つのこと】=1.期待感  2.不安感
1.期待感=人によって大小がある。抱けない場もある。しかし、人はいつも表に出ないニーズを持っている。
2.不安=発言はリスクを伴う。表面化しているものだけではなく、内面で持っている不安もある。
→このように皆何かしらの期待と不安を持っている。特に、不安はできるだけ早く解消する。

例えば、知らない人たちがいる=相手の意図がわかりにくいと発言しにくい。
できるだけ早くお互いが知ることができるようにする。

【会議の場を作るために意識する3つのこと】
1.アイスブレイク
なるべく早くおしゃべりをさせる/挨拶を自分からする/双方向の発言の機会(挨拶)をなるべく早くもつ
2.呼び名を決める
名前の呼び方1つでも共有理解をもつと話がしやすい
3.自分の見せ方を意識する
自分自身がその場に行くときの表情が、メンタルがその場に影響する
→その場にいる人達の思いを知ることで、話がしやすくなる。
→話させるために聞く、質問する=対話のスキル

【聞き上手になるには?】
■聞き上手の人=話したくなる人。つまり、発言者の意見を受け入れてくれる人。

ワーク4:AとBに分かれ、自分の野望を語る(2分)
→このワークのフィードバックからわかることは、”自分がされて嬉しいことは相手にしましょう”ということは、おおよその部分では間違いではないが、それが機能しないこともあるということ。話をしながら、相手の反応を見ながら聞き方の軌道修正をしていくとよい。

【価値観が違う人をどう受け止めるか?】
■自分の心の中で受け止めるのではなく、ホワイトボードで受け止める。つまり、見える化すると共有しやすくなる。この時大事なのは、自分が納得できない意見でも書く、ということ。
自分と違う意見を書かないと、発言しても無駄なんだと、発言者が意欲を失ってしまう。

【ある方向に議論を持って行きたい時】
■Aという答えがでているのであれば、議論するのではなく、どう、納得してもらうか。
「Aをやろうとするときにどう思う?」/「気がかりは何ですか」/「うまくいったらどんな意義があると思いますか」
といった質問を投げて、意見を引き出す。
→この時、気がかりだけ出させると、重い雰囲気になるのでポジティブ意見も同時に引き出す。逆に、ポジティブ意見だけだと建前論になりがちなので、否定的な意見(本音)も出させて解消することが重要。
■人が動いてくれないと組織も世界も変わらない。行動するには、具体的アクションプランと納得感が必要。不安が行動にブレーキをかける。不安を吐露することで、仲間から知恵の共有をすることができる。

ワーク5:納得感のある決め方のコツ(10分)(タイムキーパー・ファシリテーター・書記を決めてまとめ、他のチームとシェアする)
回答者の例:
・論理面だけではなく、感情面からも納得させること。
・実施する内容の背景やゴールなど初期に立ち返ってもう一度共通意識を持つこと。

【サマリー】
■ファシリテーションは、できるようになると、周りから信頼される・重宝される
■ファシリテーションをすることは、結論を出すことだけではない。図式化し、決定していくことを促進することのできるスキル